悩める子育て

幼児から中学受験→難関校からの大学受験、その先を考える

みんなができるわけじゃない

息子が小学生のとき、とにかく忘れ物が多かった。
担任の若い先生は元気ハツラツで、休み時間は子どもたちと遊んでくれる、字も大変上手、なにかお願いしてもきちんとやってくれる非の打ち所がない先生。

その頃すでに中学年だった息子の時間割などを「揃えなさい」とは言っていたけど、チェックまではしていなかった。さらにどちらかというと、宿題の道具を学校に忘れてくるので、徒歩圏の学校ではなかったので、取りに行けず、そもそも取りに行くような時間に忘れたことに気づかないので、結果忘れてしまう。

 

担任の先生は、我が子専用の忘れ物チェックシートを作ってくれました。

持ち物の欄に自由に記入し、自分でチェックする欄、先生がチェックする欄。

日付は書かなくて良いので、書くのを忘れた時は記入しないので「できなかった」データは残らず、なかなかいいシートだと思いました。

シートも色紙に綺麗に手書きしてくれていて、本当に先生らしいな、というもの。

「いいの作ってもらったねー」と声かけして、息子もそれに記入していました。

ところがしばらくして、担任の先生とお話ししていたとき、

「あの忘れ物シートを、ほかの子に見られることを気にしていないんですよね。みんなの前で提出する。だから、みんな彼が自分だけ忘れ物シートを使っていることを知っているんです。」

といったようなことを言われました。

「ん?」

なんか違和感。

家に帰って、ああ、先生は、「周りの子にそういう風に評価されてしまうし、みんなに知られることを恥だと思わない息子に成長はないんじゃないか。」と言いたかったのだろうか、と思いました。

 

でも、別にいいじゃない、彼の忘れ物が多いのは事実なんだから。

私の感想はそんな感じでした。

 

きっと「親がきちんとしなさいよ」って思われる方も多いのでしょうね。

でも、実は息子はもっともっとできないことだらけだったのです。

時間の感覚がないからおそろしくのんびりや。周りに合わせるという感覚が低い、というか周りがどうしているかに関心がない(友達のことは好きですが、例えばみんなが終わっているのに自分は焦らずマイペース)。

そのくせ天邪鬼で、いえばいうほどやらなくなる。洋服は脱ぎっぱなし。

 

私も在宅仕事とはいえ、忙しかったので、そのいちいち全部につきあっていられなかった、というのもありました。

ここで宿題をやるやらないの是非を語るつもりはありませんが、それなりに「持って帰ってこないからできない」と言われた時には苦言を呈していました。

2年生くらいから謎の頭痛が多かったり、この頃は調子を崩して保健室に行くことが増えてきました。こちらについてはのちのち書こうと思いますが、その前の担任の先生にもいろいろできないことが多いことについてお電話いただいたことがあったので、スクールカウンセラーの先生に話を聞いてもらいました。

 

ADHDの不注意型の症状がとても息子に似ていました。
ただ、少人数の学校で、カウンセラーの先生も息子をよくみてくれる環境でしたが、「検査を勧めるほどひどくはありません」と言われ、私自身もそこまでではない(集団から逸脱するほどではない)ので、結局検査や治療には行っていません。

でも、こういう症状がある、ということを詳しく知ったことが、自分の息子への接しかたには大きく影響しました。

ADHDと診断されるか否かは、あるレベルに達していれば、というようなものかもしれませんが、黒か白かという二択ではなく、緩やかにADHDの傾向がある、みたいなかんじなのかなと思っています。

私自身はほっとしました。「できないんだから、怒らないでいいんだ」と。

歩けない人に歩けと誰も期待しないけど、歩けるのに歩かない人には怒りがわきますよね。

もちろん、それでも社会に適応できるように「工夫」していかなくてはならないのだけど。

調べていく中で、ADHDのペアレントトレーニングというのがあることを知りました。

親がそういった子に対してどのように接したらいいか、という方法です。

これはADHDに限らずすべての子育てをしている親御さんに参考になるのでは!と思いました。

「だらしない」で片付けられがちな症状なので、怒られることで二次障害にならないように。

スクールカウンセラーの先生は、「ものが片付けられなくて困るなら、大きな箱を用意して、そこに放り込むようにしては?」とおっしゃいました。

「なるほどね、それでいいんだ。」

一気に気が楽になったのを覚えています。

家に帰って息子に言うと、「さすがにそれは嫌だ」と言っていたので、無理強いはしませんでしたが、やはり散らかりは収まりません。でも、「自分の家なんだから困らないからいいや」という気持ちが私の中に出てきました。

もちろん今でもちらかっている部屋に入って「ひえーひどいわね」なんて言うことがあります。そう言われると、今では自主的に片付けしています。

いまや私が片付けようとすると烈火のごとく怒りますから。

「きれいになったでしょ」なんて自慢するけど、よくみりゃあっちこっちに細かい「そこにあるべきじゃないもの」が落ちていたりするのですけど。

「おーすごいじゃない。やればできるじゃん」

そう言えるようになりました。

まぁ、私自身ズボラなので、許容できるのかもしれませんが。

 

ちなみに、大きい箱に放り込む作戦は、受験の時にリビングで勉強していたので、そのときの文房具や単語帳の片付け箱に利用しました。

おしゃれな箱を買ってきて、全部がさっと入れるだけなので、とっても簡単でした。

そして、必ずそこに入っているという安心感。

タンスの引き出しも開けっ放しで閉めることがなかなかできない息子には向いていました。

 

担任の先生の、「周りに評価される」件については、また書こうと思います。