悩める子育て

幼児から中学受験→難関校からの大学受験、その先を考える

奨学金破産〜進路・就職を真剣に考えるべき〜

昨日の「クローズアップ現代+」で奨学金破産について報じていました。

www.nhk.or.jp

 

奨学金というのは、自分たちの時代には、経済的問題で進学を諦める学生を助ける救済制度という印象を持っていました。

日本育英会は2001年の小泉内閣「骨太の方針」の一部として日本育英会の廃止を決定。
独立行政法人・日本学生支援機構に変わり、いまは有利子の奨学金の割合が増えたようで、経済の停滞や従来の雇用形態の崩壊なども手伝い、卒業しても奨学金を返せずに自己破産などをする人が増えているようです。

 

www.asahi.com


番組では、奨学金を借りて保育士になった女性が、14万程度の月収で返すのが困難になった例などを紹介していました。

さらに、奨学金返済の回収を強化していて、無理な支払いを要求して本人を自己破産させたり、連帯保証人の親などに支払いを命じてそちらも苦しめる、という状況が増えているそうです。

news.livedoor.com

 

また、いまでは以前返還を免除されていた職業の方の返還免除も廃止になったようですね。

教育又は研究の職に係る返還免除(廃止) - JASSO

 

詳細については他のメディアに譲ります。下記まとめは現状の問題点をわかりやすくまとめてあります。

matome.naver.jp

 

現状で親はどう考えるべきか

現状は奨学金制度が改善されることを強く望みますが、いまの状態で親が考えるべきことはなんでしょうか?

まず第一に、実際借りてしまったら返さなくてはいけない、本当に返すことができるのかを考えてみる。

 

matome.naver.jp

いまの低賃金での雇用や就職できないかもしれない可能性、病気になって退職をやむなくさせられる可能性などを考慮しても、これだけの借金をしても破綻しないのかどうか。

 

allabout.co.jp

 

大卒と一言にいっても、その大学のレベルによって、就職できる可能性も得られる給与の額も大きく異なることでしょう。また、高学歴だからといって必ずしも就職できるかどうかはわかりません。番組では東大に行きながら奨学金を借り、弁護士を目指すのでロースクールに200万円ほど追加でかかる学生さんを取材していました。

その大学に通ってどうしたいのか、どうなりたいのかをきちんと考えなくてはならない。奨学金を借りても卒業後の返済に不安がある状況で安易に奨学金を借りるのは大変危険です。

うちとて、莫大な財産があるわけでもないサラリーマン家庭ですので、会社が傾いたり夫が倒れたりすれば奨学金は他人事ではありません。

お金に無頓着というか、お金に執着するのを嫌うような息子に常々言っていることがあります。
「あなたが好きなことをしたいなら、まず生活ができるだけ稼げる基盤を作ってからにしなさい。」

どうも放っておくと趣味に走って「稼げないけど幸せ」なんて言いそうなので。
はっきりいってそんな成人した息子まで養っていくほど我々は余裕がないのです。
「好きな仕事を選べばいい」
そこまで割り切って綺麗事をいえない、いまのこれからの経済状況には本当に悩まされます。


最近の驚くべき低賃金を見ていると、真面目にやって資格を取ったりしても、実家を出て生活はなかなか難しい状況です。
番組ではゲストの尾木ママがいまの大学生は1日平均850円しか使わないといっていました。
いまの学生はとても真面目に学んでいるし、バイトも遊びのためではなく生活のためにやっている子が多いとか。

親は割と気軽に大学進学を考えている

少し前の話ですが、高卒シングルマザーで二人を育てた私の友達が、勉強嫌いの上の子に、「大学に行きたいなら行かせられないこともないよ」と話していました。
でも彼女自身が収入も財産もない親に経済的にも悩まされ、収入制限のある住宅に住み、本人も決して高収入ではない状態なのです。
手元にいくばくかの貯金があるのでしょうが、それで、とても名の知れた大学にはいけないであろう子どもに大学の選択肢を与えることは、親心なのだろうとは思うのです。
でも、それでその大学を出たところで(勉強嫌いと言っているのに)、数百万を費やしたとして就職できるのだろうか、その後のプランは?
結局、彼女のお子さんは二人とも高卒後就職をしました。
きちんと正社員として収入を得られることができて、奨学金に苦しんでいる番組の方よりはよほど希望がある生活だと思いました。

他にも子どもが全く勉強ができないと悩んでいるのに「どこかの大学へ行ければいい」というような親御さんがいます。
いまもそうなのかどうなのか。自分の時は「超一流大学」と「一流大学」でさえもあからさまに求人情報の数が違いました(当時はアナログなので、会社情報の冊子が大量に送られてくる)。
勉強をしなくても入れてしまう大学に入って、果たしてその後につながるのか。

残念ながらあまり将来の展望があるとは言えないいまの日本で、安易に大学進学を考えてはいけないと思うのです。
ただでさえ学費分の元がとれる可能性は限られ、そのうえ奨学金を借りた日には大きな負債を抱えてしまうことになるのです。

なにも考えなくてもそれぞれのレベルの子にそれぞれの生きていける進路があった、自分たちは恵まれていたと思うのです。
自分の時とは違う、ということは肝に命じなければいけない。

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今後の日本をどうしたいのか〜知らない人を切り捨てないで〜

いま現状に向き合えば、上記のような「自衛」は必要だけれど、教育は社会にとってとても重要なはず。
番組では、海外と比べて日本の奨学金制度を「高学費、低補償」と語っていて、北欧などの「低学費、高補償」、オーストラリアなどの「低学費、低補償」、アメリカなどの「高学費、高補償」と比べても最も悪い状態。
さらに他の国々には給付型という返さなくていいものがある。と紹介していました。
高い教育費は少子化にも大きく影響しています。
補償もしないといえばなおさらです。


イケダハヤトさんの記事↓

lite.blogos.com

 

奨学金制度を悪くばかり言うなというご意見↓

 

d.hatena.ne.jp


個人的には、イケダさんのように、経済的に苦しい人は大学に行くな、といわざるを得ない現制度には問題を投げかけたい。

本山さんの論調は「奨学金を悪者にしないで」ということだが、滞納者20万人、7%はどう考えても大きいでしょう。特殊な人の例とは言えないから問題になっている。
この方のように奨学金が問題視されていることを知っている人はいいのだ。
知らないで、奨学金を使えば大学に行けると安易に考える人が多いからこそ周知しなくてはいけない。
これだけの格差社会になり、実際持っている者、知っている者が圧倒的に有利。
なにも考えないでぼーっとしているとドンドン世の中の悪い側面の犠牲になったりして、一度はまると抜け出すのは相当難しい。

恵まれた人が上から「知らない、考えないお前たちが悪い。自己責任。」と言い切る社会は本当に成熟していると言えるのか。

以前友人が開催した食育講演会の先生が「僕の本当に伝えたい人たちはそもそもこんな場所に来ないんですよね。」とおっしゃっていたのを思い出します。

テレビでもお金がなくてお父さんが深夜バイトもしているのに、お母さんは謎の内職、子ども3人は小学生で全員ケータイ(当時はスマホなし)を持ち、ゲームに興じているのをみて、ああ、なんか間違っている、と思いました。

 

でも、それを全部「考えないあなたたちはこんな生活でも仕方ない」とは思えない。
うまく生きて行く力だって、教えてほしいし、もし知らなくても最悪のことにならないような社会になってほしい。

 

そして恥ずかしながら、勉強しない息子に「あなたが頑張らないで私大に行くなら奨学金でいってよ。」
両親オール公立(母は塾なし)から私大。一方息子は私立中高一貫校。どこでもいいよと言えるほどうちの経済状況は良好ではない(泣。

なんて脅し半分、本気半分で言っていた「知らない自分」を反省します。
「残念でした。私立にはいけないらしい」と教えたほうがいいのだろうか。

それから、私立も国立も学部によってかなり学費に差があることも考えなくてはいけない。もはや職業選択も「やりたい」だけで考えられないのだと実感。
職業についてもまた考えを巡らせてみたいが、エンドレスになるのでまたそのうち。

 

そして私立に通わせて都心に住んでいると、およそ半分の学生がなんらかのお金を借りているという事実に驚愕。

  

「こんな時代になっちゃったのか」、みたいなことを尾木ママもつぶやいていましたが、希望に満ちていた(夢に浮かされていた)高度成長期から続くバブルを学生時代に過ごした私たちにはなんとも悲しいのです。
銀座で爆買いしているアジアの方々をなんだか羨ましく見つめてしまうのでした。

 

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