子育てはそんなに簡単じゃない
たまたまある子育てサイトにたどり着きました。
ちょっと突っ込みどころがおおかったので、突っ込ませていただきます。
まず、こういったサイトって、これから子育てをきちんとしたいな、というお母さんが見るものですよね。安易に煽らないでほしい、と思うのです。
先日テレビでチラ見しましたが、母乳育児ができないことを真剣に悩んでいる方がいらして。なんで? ミルクでいいじゃない?
「こうでなければダメ」っていうのが、たいした理由も根拠もなくありすぎて、こういう真面目なお母さんを苦しめるのです。
タイトルが
「たったこれだけ!賢い子供の育て方5つ」
そんなわけないじゃん。なんだこれ、ダイエット広告みたい。と思ったら運営がダイエットサイトも作っているようでした。
個人ブログではなく、それなりにきちんと子育て情報出してますよというふりをして、この書き方はちょっとどうなの?
そもそも賢い子どもってなんだ? そこの定義からほしい。
「末は東大生?ピアニスト?スポーツ選手?医者や弁護士?…」
でたランク付け。
こうやって母親たちは冗談めいた言葉でも知らず知らずにレールにのせられるんでしょうか。そこがヒエラルキートップなの?
記事全部が大否定というわけではないのですが、ところどころに自らの基準がないマニュアル母を縛り付ける言葉が満載なのです。
夜は8時までに寝かせましょう
いやいや、いまどきの働く親御さんが保育園を迎えに行き、買い物をして食事を作り、何時に寝かせられるのよ。
保育園でご一緒したお母さんが、保育園の日誌に「毎晩1時に就寝してるって書いたら怒られた〜」なんて言っていましたが、さすがにそれは怒られるでしょ、という笑い話でしたが、実際8時なんてできない人も多い。
「できるだけ早く寝かせるようにしましょう。」などでよくありませんか?
パパやママの箸や鉛筆の持ち方、食事の作法や言葉遣いなどが間違っていると、子供はそのまま間違えて覚えてしまう可能性があります。いちど悪い癖がつくと直すのは大変です。
そうなる前に、早いうちから親が正しいマナーを繰り返し子供に示してあげることが大切でしょう。
これも「たった5つ」に入れる必要あるかな? それだけ重要かなと思うのです。
ある程度のマナーをしつけるって普通にやるでしょう。
でも実際は教えても教えてもやらない 、できないお子さんはかなりいらっしゃいます。
箸の持ち方がちょっと汚いくらいで人生変わるの?
いや、実際これにとらわれて食事時間が楽しくなくなっている家庭は多いと思いますよ。
ちなみに息子はずっとエジソンの箸をもたせましたが、あまり持ち方がきれいじゃありません。いまでも時々「気にする人は気にするよ。」と言いますし、普通に指の位置を書いてある大人用箸を与えていますが、それでも、できるなりにやればいいと思っています。もしそんなことで息子が将来ふられるなら、それは息子にふさわしくない相手だったということじゃないか。
お子さんの姿勢が悪いことを毎日毎日説教していたお母さんを思い出します。
その説教の悪影響の方が姿勢が治るメリットをかきけしているよ、と。
指摘したところで治らないし、そんなに姿勢ひどくないし。
2の
すぐに答えを教えない
や4の
間違えても怒らず楽しく学習させる
などは悪くないと思います。教えない、間違えても怒らないは、しつけや寝かせる時間に比べてぐっと簡単にできるから。
でも、4の下に書いてあるポイントは、
学習時間は優しい声かけと笑顔を忘れないようにしましょう
ちょっとできない人多そう〜。
最後の5の
興味のあること好きなだけやらせる
はよいとして、
子供の興味に親も付き合い、家庭で楽しく会話できる雰囲気を作りましょう
これも書くのは簡単ですが実践はわりと難しいですよね!
働いていれば忙しくって、とりあえずDVD見てて、なんてことも多いかと思います。
正論を言われてしまうと、そこから逃げる術がなく、真面目なお母さんは追い詰められてしまう。
これからはむしろ、「あまりいろいろ気にしなくていいよ。」という発信の仕方の方がいいような気がします。そもそももともと気にしなさすぎるような親御さんは子育てサイトなど見ないのだから。
自分で判断する力をつける
結局どんなマニュアルにも言えますが、いくら情報を得ても、その中で自分がうまく選択する力がなければ、よくない情報に振り回されることがあります。
育ててみれば子どもは十人十色。同じマニュアルに合うなんてことはない。
だけれどこのような断定的なマニュアルがあることで、みなそれが正しくてそれができていないのは「親が悪い」「しつけがなっていない」とされてしまう。
それでも、その昔でいう「世間体が悪い」と言われるのを恐れるあまり自分や子どもが本来できないことに必要以上に執着したり、振り回されたり。
前記事でも、本の中で、「これくらいの偏差値でどの企業に就職できますか」なんて聞いてくる親(本人ですらない)がいたり、自分の基準はなんなのか、と問いたくなるような親御さんはいらっしゃいます。
とはいえ、自分の基準がない人はその人自身のそれまでの生き方が影響していると思います。
親御さん自身が自分の親のレールに乗っかっていただけで(反論は許されなかった)、「決断できない」大人になっているという方を知っています。
夫婦であれば、どちらかがそうであればもう一方がしっかりとリードしていくしかないのでしょうが。
価値観は人それぞれ
以前子どもを「インターナショナルスクールに通わせていたけど、すぐ転校しちゃったからいまは英語が全然できないの」というお母さんがいて、私はそれを「そんな失敗話を敢えて言わなくてもいいのに。なんでよく話すのだろう。」と思っていました。
私の中では「インターナショナルスクール」というブランドだけで安易にやらせたもののその教育を生かすベースが自分になかったという話だからあまり言いたくない話じゃないの?と思っていたのです。
でも、別のお母さんにまたその話をしていた際、聞いていたお母さんの反応は私と全然異なるものでした。
どちらかというとそのお母さんは通わせていたお母さんを嫌っていたし、少し蔑んでいるようでしたが、「インターナショナルスクールに通わせたのに英語ができなくて〜」という話を聞いた彼女は
「へえ…。すごいのね。」
と感心していたようでした。
え? と思いました。
ああ、彼女はこういう反応をしてくれる人のために「自虐という名を借りた自慢」をしていたのだなぁ。
とてもそんなバッグ買える収入持っていないのにブランドバッグを「がんばってかっちゃった〜!」っていうのも、こういうことですよね?
子どもの人生はそんな自慢のためにあるわけじゃない。
でもそう考える親御さんも多いのでしょうか。
子どもがかわいそうではありますが、そういう親御さんは好きでやっているのだからよしとしても。
そういった価値観を自ら持っていないにもかかわらず振り回されて、ストレスを抱える親御さんには、ぜひきちんと自分がどう子育てをしたいのか、と本気で考えて欲しい。
子どもは、マナーがよく挨拶がきちんとできて、活発で、勉強も運動もできて、友達には親切で…。
お母さんは、母乳で育てて、外で大声で子どもを叱らなくて、いつもニコニコ笑顔で、早寝早起きで…。
ほんとにそれがそんなに大事なのでしょうか。