unlimited本は貧乏性には読書数を増やす効果がありますねー。「積ん読」できないので。それにしても、個人的に気ぜわしくてブログ購読と投稿ができずモヤモヤしている昨今です。またもや本をネタにぐちゃぐちゃと思いつくまま。
学校は負けに行く場所。
さっさと落ちこぼれて、自分のエリートコースを創れ。
興味深いタイトル。著者の千田琢哉さんは、たくさんの著作があるのですね。私は初めて読みました。
大変短く完結で断定口調で言い切る文章に好き嫌いはあるかもしれませんが、私はなかなか面白く拝読しました。
私の興味深かったところをいくつか。
二章 受験勉強・エリート教育
個人的に興味深いテーマですが、概ねこの方は人には向き不向き、持って生まれた才能が頑としてあると考えています。
しかし、才能がないから残念だという視点ではなく、自分ができることで勝負すればいいだけ。
学校で落ちこぼれることは、困ることではない。社会に出てからの生き方が原因で困るのだとも。
遅い足は早くならないし、悪い頭も良くならない
と一刀両断しているが、だからできない人に希望がないわけではなく、自分の向いていないことで努力してはいけないと言っている。
後に習い事についても合わないと思ったら1日も早くやめるべしと説いている。
親はその子の才能を見抜いてやることが大事だが、才能は運動や勉強ばかりでなく、社会に出たらなんでもありだと言っています。
私も以前記事に書きましたが、得意なことのない子はいません。親がそれを生かせるかどうか。やはり大事なのは親の見極め力なのかな、と思いました。
受験向きの脳が完成されるのは8歳まで。その土台は3歳まで
それまでにどんな環境にいたか、また遺伝も大きいという。
小学生から落ちこぼれていたら、難関国立大学は無理と言い切っている。
そして、子どもを勉強させたいなら、勉強しなさいと言わず、親が子どもの倍勉強しろと。
読書の大切さにも触れていました。
筆者は親に読書を強要されたせいで大学生になるまで本を読まなかったが、読書の習慣は早いうちにつけたほうが良い。読解力は10代で決まるのだという。
やはり何を読んでも読書は大事と説かれていますね。
息子は放っておいても読書をする子でしたが、中には親が読み聞かせを熱心にしてもあまりはまらなかった子もいたようです。これも持って生まれた興味関心のような気もするのですが、興味を持たない子には図鑑や絵本などセレクトを工夫する必要があるのかもしれませんね。
たとえば鉄道好きならそういった本から。いろいろなものについての本はありますから。
天才と秀才について
我が子が天才か秀才であるかを見極めるのが大事。なぜなら、天才には天才の勝ち方、秀才には秀才の勝ち方があるからだ。
全くその通りと思います。天才の子の全然やらなかった、遊んでいたを鵜呑みにして、天才じゃない子が取り入れたら、単にできないだけですから。
周りを見ていても、個人の中にもこの分野の天才、という強みの差はあると思います。
そういえば、林先生の痛快!生きざま大辞典という番組で、開成高校出身の調教師、矢作芳人さんを取り上げた時に、林先生が、「彼にとっては難関校に入ったのがよかった。」と言っていて、それは、難関校でトップ層を見た矢作さんが、早々に勉強で勝負することをやめて違う分野へと進むことができたからと話していました。
難関校でも中途半端な位置にいるとよくないこともあるなどと持論を展開していました。
やはりこれも自分で自分の得意を見極める、ということなのでしょう。
三章 友人・親子関係
子どもの喧嘩はしばらく放っておくほうが良い。自分でどうにかする力をつけるとともに、子どもの喧嘩で学ぶことは多い。
これがきちんとできる友達親子との関係を構築することも大事ですよね。
相手の子とトラブルになるととりあえず丸く収めてしまいたくなるけれど。
私は息子の友達の息子に対する暴言を、その場で言った本人を諌めるような者ですので当てはまりませんが…。
ちょっと話が逸れますが少し前に林修先生の番組で弁護士タイプをはかる問題が出ていました。
たしか、学校で(先生の立場だったか定かでないが)男の子が別の子を叩いている場面に遭遇した時どうするか、という自由回答。
叩いていた子を怒る、叩かれていた子をかばう、いろいろあると思います。林先生はたしか何もしない(!)だったか。
私は両者の言い分を聞く、でわりとこういう性格は弁護士向きなのだそうです。
私は単に一つ違いのすぐ泣く妹のせいでいつも怒られていた理不尽さが忘れられないのだけれど(笑)。
親がどんなタイプかによって、子どものケンカへの向き合い方も違ってくるのかもしれません。ありがちなのは、あまり我が子が強く出たりすると嫌われてしまうかも、という不安でしょうか。幸いうちはフレンドリータイプでしたのであまりそういう機会はありませんでしたが。
また、子どもにきちんと転ばせる、なんでも教えてしまう上司は部下を育てられない。と社会に出てからのことにも結びつけています。
失敗をさせて学ばせるのですよね。子育てのコツは部下育てのコツでもありますよね。お父さんにも会社で役に立ちそうなことは多いです。
いつぞや話した夫の会社の新人君。
そう難しくない資格試験で苦戦中でしたが、夫が世話を焼いて見てやる間は頑張るのですが、一人では頑張れなかったようで、試験に落ちてしまったそう。
その後、直接の教育係ではない夫に聞くと、
「やる気がないというほどでもない。自らやるというほどでもない。前より少し仕事ができるようになった。」
というので、
「そこを評価してあげた?」
と聞いたら、当然のごとく否定。まあ、厳しいタイプだもんね。
「ちょっと評価してあげるとやる気出るんだよ。」と言ったら「そんなもんか。」と話していました。
男の人はほめベタの人が多そうですけど。その後新人君はどうしているか、また聞いてみようと思います。
嘘をつくなと言わない
大人が嘘をつくように子どもも嘘をつく。嘘をつくのは自分を信じられないからだ。嘘を問い詰めると余計に嘘をつくようになる。
確かに嘘をついたことのない人はいない、だからこそ、厳しく禁じると、余計そこから逃げるようになる、これはよくわかります。
嘘についてだけじゃなくても、私の知る厳しくしすぎる親の子は嘘をよくつきます。
私は嘘に限らず、自分が偉そうに言える人間ではないので、子どもにも「所詮人間なんて大したもんじゃない。だから正しくできなかったことを必要以上に恥じる必要はない。」と話しています。子どもは意外と正しくしているべきと思っているので。(だから大人は汚いというのですよね。)
その代わり良くないと思ったら改善するようにすればいいだけ、と。
子どもは親が本当に喜んだ顔を見逃さない
ちょっとドキッとしますね。口で言うことと思っていることが違うと子どもはそれをわかっている。思ってもいないキレイごと並べても、見透かされる。
そうかもしれない。「辞めてもいいんだよ。」と言いつつ、「本当は辞めてほしくないんだけど。」ってやつですよね。
親は表情を隠せないから、心を入れ替えるしかない。
五章 なんのために学ぶのか
勉強は将来役立つからするのではなく、楽しいからするもの。
学校の勉強は役に立たないと言いきっていて、楽しくない勉強など二度と関わってはいけないとまでいっている。好きなものの勉強なら苦にならない。
以前の記事で、知り合いのお母さんが、「何のためにこんなことしなくちゃいけないの?」と言っていましたが、千田さんはもっと突き抜けていて、「やりたいからやるだけ」と言っているような気がします。
子どもに聞かれたらどうするか。
「だって楽しいんだもん。なんでこんなに楽しいことをしないの?」
とでも言ったらいいのでしょうか。
もちろん本書でも学校での勉強=すべて面白いとは一切言っていません。
お子様の勉強は試験当日で終了。大人の学びは寿命が尽きるまで続く。
(以上引用)
と後述しています。
じゃあなんで学校の勉強をしなくてはいけないのか、思い出すのは、
少し前に見たプロフェッショナルでの小学校を中退した人の話。
ちょっともう一度見直したいところなのですが、結局学校では吹きこぼれで、ここにいる意味を見出せずに中退した道脇さんが、あとになって社会で必要なことをたどってみると、それは学校のカリキュラムに揃えられていた、みたいなことを語っているところが印象に残りました。
↓この部分について述べられているいい記事がありました! ここで触れられています。
なるほど、社会の一線で活躍している方から振り返ってみた学校のカリキュラム。
そういったアプローチで子どもに話してもいいのかもしれない。
また、同様にkindle unlimited読み放題で最近読んだ本「独学のすゝめ」では、難関大学を目指すのをお勧めする理由に、
- ある分野で面白いことがしたい思うなら、そういう人たちが集まる場所に行くのがいい。
- 先生などは難関大学でなくても一流の人には巡り会えるが、日々一番時間を共に過ごせる学生に優秀な人たちがいる可能性が難関大学には高いから。
といったことをあげていて、なるほどな、と思いました。
独学のすゝめ 大学受験勉強法 あなたが大学受験で失敗・後悔しないために: 私はなぜあなたにいい大学・難関大に入ってほしいのか よくわからない数学 (相転移プロダクション)
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確かに息子は中高一貫校に通っていますが、公立中学ではなかなかこんな友達には巡り会えなかったであろうという、大変個性的な人の多い環境にいます。大学でもそんな環境に行けたら息子にとってはいいのかな、と思っています。
そのことは結構前にも記事にしています。ご興味があれば。
だいぶ脱線してしまいました。本に戻ります。
面白いなと思ったのは、人間は他の動物に及ばないところはたくさんあるが、知能だけはダントツに優れているのだから、人間は頭脳を使って幸せになれというのが自然の摂理だというところ。
あなたも人間である以上、頭脳を鍛えたほうが幸せになれる。
そしてあなたの頭脳を鍛えるための環境は時々刻々と整えられている。
(以上引用)
こう書かれると、なんだかワクワクしてきますよね。
このワクワクへの誘導はまだ続きます。
世の中には「マンガ学部」もあれば、「デジタルゲーム学科」「オタク学」もある。
ひょっとしたら、あなたが罪悪感を持ってこっそり没頭してきた分野は、もうすでに立派な学問として確立しているかもしれない。
せっかくこの世に生まれたのだから、ぜひ寿命が尽きるまで没頭できる勉強に取り組もう。
(以上引用:太字も)
これがベースであるから、偉人伝もとかく努力が伝えられがちだが、本人が夢中になれるものに出逢ったからだ、と言っています。
確かに、テレビなどで天文学者や地質学者が長年にわたる、地味〜なデータ採集などをしているのをみるにつけ、
「すごいなぁ、地味すぎる、実際この人たちは成果が出たからテレビに出られているわけだけど、この後ろに多くのこういう名もなき研究者がいるのだろうな」
と思っていましたが、パッションがそうさせているのだと思うと、苦行ではないのかな、と思えてきます。
あとは、勉強に対するハードルを下げるような、三日坊主でいいという話や、勉強のきっかけはモテるためでいい、などと続き、
最後に「生きる力」として、無人島で一人で生きるのに自分を救うのは知恵だけだと締めています。
それぞれが簡潔で、すぐに読み終わってしまいますが、「やっぱりね」と思うところの他にいくつか発見もあったので、ご紹介しました。
いじめについてや人生の師匠を見つけることについても章立てして述べられています。ご興味があれば。
息子について言えば、学ぶ楽しさは教えるまでもなく、本人が勝手に見つけてあれもこれもと手をつけています。
親としては大賛成ではあるのですが、どうしても進路が気になって、受験に全く関係ない勉強ばかりしている息子に、どちらかというと学校のカリキュラムの大切さ、大学受験の大切さを説いたほうがいいと思って和田秀樹さんの本を抜粋して読ませているくらいで。この辺のさじ加減も難しいところです。
そういえば夫も大人になってから自分の学びに目覚めたタイプで我が家の本の消費額は高めになっています。私自身はどちらかというと、仕事が技術系ですので、そちらに必要なものが中心にはなってしまうのですが、フリーになってから、俄然学ぶ気力が湧いてきたのは実感としてあります。
自分が学んだことが生かせる! っていうのもなかなか楽しいこと。趣味と同じですよね。
誰もが気軽に勉強に親しめるような、そんな教育をしてもらえたらいいと思います。
それにしても林先生の番組見過ぎ! いや、どちらも毎回見ていたわけではないのですが、なにかと参考になることは多いです。