成績低迷 課題は山積
あっという間に2学期が終わってしまいました。
反抗期というよりも、むしろ本人の普段のペース配分と勉強以外の仕事の多さ、楽観さのせいで、ろくに勉強時間を作れなかった息子の成績は順当に下がっています。
毎日言い続けたところで刺激がないので、今年度しばらくは静観していました。
2学期始め頃から少し刺激するようにしていましたが、なかなか思うようにいかず。
その原因は、やはりやりたいことが多すぎることもありましたが、その一定時間での処理能力が低いことでした。
過去記事でも書きましたが、キクタンという英単語集を毎日の課題にしていますが、本人はフルモードでじっくりやりたい派。
だけど、そもそも時間を作らないから結局いくらもやらない。
それならCD聞かなくてもいいから、とにかく単語を進めなさいということで大揉めになる次第。言われて従うのが嫌だから自分流できちんとやるという意地もないふがいなさ。賢くないとがっかり。
それでもなんだかんだ声をかけながらやっていますが、やはり本人に任せていると完成度がとても低い。
それで、しつこいほど同じ単語を何回も口頭で出してやって、いい加減覚えたよ!という状態にして終わらせる。といってもそう時間はかかっていない。
「どう? 今は覚えたよね。ここまでやって終えないと(一回みた程度では)覚えたことにならないよ。」
「この課題を終わらせる目的はなに? 単語を覚えることでしょう? とりあえずやったけど覚えてないんじゃ意味ないんだよ。」
と、今までいろいろな中学生に言ってきたことを繰り返す。
でも、他の子と違って我が子は聞く耳を簡単に持ってはくれないのです。
それで、いろいろ読みつついいと思ったところは抜粋して音読して聞かせています。
和田秀樹が灘で成績下位から上がった勉強法は?
→数学でみて解けない問題はさっさと答えをみて、あとは繰り返す。
対する息子:解けない〜といって何十分。
→その間にたくさん解いて、たくさん復習したほうが効率的じゃない?
そんなことを何度も話しています。すぐ忘れるので。
そろそろ学校生活楽しんでいればいいよ、と笑ってるわけにもいかないので、終業式後は家族会議でした。
少しずつ説いてきた成果か、前ははなから
「わかってるよ。やってるよ(やってない)。やろうと思ってるよ。」
だったのが、彼にしては珍しく「そうだね。」と聞くようになってきました。
ただ、私も夫も息子に今からガリガリと勉強ばかりしてほしいわけではありません。
課外活動や友達との遊び、部活動などいろいろやってほしい。だからこその効率的な勉強法を習得してほしいのです。
口で言っても親のいうことはありがたみがないようなので、改めて本を買ってみました。
本人に読ませようと思っています。
最新脳科学が教える高校生の勉強法
脳科学の観点で勉強法を語っている本です。
私もよく忘却曲線などの話をする通り、いつどんな風に勉強するかで効果に大きな違いがあることを実感しています。
1章 記憶の正体をみる
海馬は生きるのに大事なことを覚える、すなわち勉強はたいして大事ではないと判断しているから覚えにくい、脳は忘れることが得意(忘れることの大事さも)、覚えるためには繰り返しやるしかないという冒頭の内容に「やっぱりそうかー。」と思いつつ、そうであることを息子に認識してほしい、とも思うのです。
ただ、その覚え方にコツがあるよ、ということでうまく海馬にこれは生きるのに大事なことであると勘違いさせなくてはならない。
2章 脳のうまいダマし方
どうダマしてうまいこと覚えさせるかについていろいろ。
忘却曲線を意識した復習のタイミングやバイオリズムに合わせた勉強に取り組む時間について。
さらに、学習したことがしばらくしてより理解が深まるというレミニセンス効果について。
眠りの重要性について書かれているところが脳科学っぽいけれど、定番ですね。
3章 海馬とLTP
復習の必要性について、LTPを取り上げて説明。海馬を繰り返し刺激することが神経細胞同士の結びつきを強くする。
また、興味を持っていることは労せずに覚えられるということから、まず学ぶことに興味を持ってみることが大事。
たしかにこれも息子がヤダヤダ言っている時に話します。
そう言うことで余計に嫌になるからやめたら?
感動的学習法というのも面白い。
単なる丸暗記ではなく、例えば歴史などそこに感情を交えて覚えるのだそう。
思い出として記憶することもLTPが起きやすくなる。
息子の地理の授業で全く知らない国の首都名をたくさん覚えるときに、特に覚えにくいと思われるものを私がネットで調べてその都市について解説しました。
「すごい治安が悪いらしいよ!」とか「こっちは牧歌的だって!」とか。
その方がカタカナのかたまりだけを覚えるより、記憶に残るのではないかと思ったのです。今はそういう情報を気軽に得られるので、いいですね。
工夫により勉強が楽しくなってきているのではないかと思います。
4章 ファジーな脳
シナプスでは伝達物質がアナログ信号でやりとりされるため、伝える情報量を選択できるようになっているのだとか。そこがデジタルで劣化しないコンピュータと違うところ。だから伝達が曖昧になってしまう。
しかし、その曖昧さは、常に変化する環境で生きる動物にとってなくてはならないものである。コンピュータのように厳密な選択では、少し変化すると対応(選択)できないが、同じものだけ探すのではなく似ていないものを消去していくという曖昧さが生きるのには必要だったからこそのアナログ、曖昧さなのだという、なぜそうなのかもわかりやすい。
そんな風に曖昧だからこそ、失敗と解決法をさぐること、失敗にめげない楽天的な気持ちが大事。
また、スモールステップ法で簡単にできるところからとりかかることで、効果を増大させることについても、犬に少し複雑な作業を覚えさせるときのやり方でとてもわかりやすく説明しています。
そして失敗したら後悔ではなく反省をしようと。
これもいつも言っているんだけどな。子どもたちは失敗をかなり恐れるのです。
失敗があるから、それが思い出や感情とともに強固な記憶になるのだけど。
長期的な計画を立てることの重要さも説いています。
こちらも先日息子との会話で出てきました。
定期テストの勉強補助をしていると、たびたび
「そこは出ないって言ったからできなくてよい。」
などというのです。
でも、普通の英語の教科書ですよ。授業が終わってできるべきところができていないのに「試験に出ないからできなくていい」ってなんなの? そんなんじゃダメだと話しました。
もちろん、テスト前だから時間を省きたいという理屈はわかるのですが、だからといって試験後にやるとも到底思えない。大した量もなく簡単なものなのだから、ついでに確認しておけとは思わないのか。
こちらには意見が別れるかもしれません。でもテスト前に(範囲内ではあるけれども)出ないとわかっているところをやる必要あるの?と。
でも、私は以前から定期テストは勉強をやらせるきっかけにすぎないもので、「いい点数をとるべき目的」ではないと思っています。
ですから、一夜漬けですぐ忘れてしまうような覚え方とか、そうやって出るところだけでいいとかより、きちんと先を見据えて身につく勉強をしてほしいなと思っています。
本に戻ります。
学習の転移ということにもふれています。得意科目をまず究めるとほかもやりやすくなるそうです。
5章 天才を作る記憶のしくみ
知識記憶は思い出すのにきっかけが必要。経験記憶は思い出すのが楽という話。
そのために知識記憶を経験記憶に置き換えると覚えやすいというわけ。
- 語呂合わせを作る
- 例文、用法、語源とともに覚える
- ほかの人に説明してみる
- 耳で覚える
これらのことを挙げていますが、このあたりは私も息子や中学生の子たちに実践していました。
地理の膨大な地域名暗記では簡単な童謡に合わせて場所と地名(山脈や盆地)を歌詞にしました。
首都の名前に、同じ名前のお店があった、というようなエピソードを付け加えたりもしました。
繰り返して言わせる内容には、たとえば
「〜のときは〜である。」と言ったように文章にさせてそれを繰り返したことも。
耳から入った記憶が音として思い出されたりすること、またノートに書いて手で覚えるということについても話しました。
なかなかみんな億劫がってやらないのですけれどね。
例のキクタンを覚えるときにも小さいノートに時々単語を書いてというのですが、なかなか面倒臭がってやりません。この本を改めて読ませようと思います。
また最後に「方法記憶」というものについて書いてあります。九九を覚えていないという筆者の九九の答えの出し方が解説されていたりとなかなか面白いのですが、公式を丸暗記するのではなく、どう解くかという本質部分をきちんと理解することで応用がきく、ということです。
そうすれば膨大な丸暗記をする必要がない。
よくわかるし、私もこういった方法記憶を重ねていくことが理解を深めることだと思っています。
神経細胞の性能に差がなく、脳は「使い方」次第だと言います。
学習の効果はべき乗
方法記憶には学習の転移があって、ひとつ覚えるともうひとつにその方法を使った解き方を応用できる。だから勉強時間に単純に比例して能力が上がるわけではなく、1、2、4、8、16というように急カーブを描いて上昇するという明るい話題で締めくくっています。
そのためにはしばらくは小さな上昇でも頑張って努力を続ける必要があると。
天才と言われる人たちはどうやって理解しているのだろう、途方もないと簡単に思ってしまいがちですが、脳のうまい使い方を知っていて、さらに努力をある程度続けていてすでに爆発的に上昇している人ということか。
脳科学をみても結論は地道な努力と失敗の繰り返しが大事という結論。でもいかにしてうまく方法記憶を導き出すか、脳の仕組みも知りながらきちんと忘れないうちに復習をしたり、よく脳を休めて(寝て)情報を整理させ、失敗は反省して次に生かしてやっていくことでより効率的に勉強が身につくのだとわかりやすく解説されています。
そういったことをわかりながら勉強に取り組む方が、きっと効果はあるでしょう。
やはり早く読ませたい。
「はじめに」に触れられていますが、この本の「高校生の勉強法」というタイトルである理由は、中学生までは丸暗記が得意な脳であるが、高校生くらいから論理的に理解していく能力がたかまるため、それにあった勉強法に変えていく必要があるから。
時々挟み込まれるコラムにも有用なことが。
テスト中など集中できるのは最初と最後なのだそう。それを生かしてテスト時間を分けて考えることで、この集中できる時間を増やすという作戦。
これはきっと先生なんかも実践している方も多いのでは? 授業を半分に分けて2個やる。短いと2個目の冒頭はまた集中できるような気がします。
そもそも時間割で分かれていますものね。あれが1日同じ教科だったらうんざり。
また、恋は勉強には悪影響なんだそう。じゃ、男子校で良かったと喜ぶべきか。
ほかにもテーマに沿った高校生の体験談に筆者のコメントがついていたりと、なかなか盛りだくさんで、個人的には買ってよかった本でした。
Up!