学校の自治活動などに熱心な息子。様々なものに首を突っ込み、今はそう忙しくない部活の代わりと人脈も増やして頑張っている。
私学の校長がある本に書いたように、自学というのはかけがえのない体験だから、そこはあまりあれこれ言いたくない。
しかし、要求されるレベルがかなり高いことに驚いた。
自分たちでほとんどやって、教わるのは主に先輩から。と言ったってその先輩も部活が同じわけでもないので、引き継ぎの時に尋ねる機会がある程度だろう。
もちろん先生に聞くこともできなくもないだろうが、そもそも何を聞いていいのかわからない状態だろう。
かなりのページ数のパンフを作ることになった。
少し前に助言を頼まれ、多少の出版物作成の手順は教えた。
原稿書きから編集作業、校閲、レイアウト、校正など。
だが、全体の概要もスケジュールも把握していない私はその後放っておいた。
基本そんなにかまいたくないのだ
しかし事態は想像以上に悪い方向へ。
様々な問題が起こる。
原稿を書かない生徒
指定した書式にしない
統一されない書き方
テキストが抽出できないPDF
ソフトが使えない
使用ソフトの変更に関わる担当の変更
スケジュールの見積もりができていない
いきなり使ったことのないソフトを使わなくてはならない
印刷入稿の知識がない
急に担当を投げ出す生徒
ツッコミどころが多すぎるのだが、所詮子どもである。
結局何もわからない手探りのまま、かなり多くの負担を息子が負うことになり、徹夜をしたりしている。
手助けがないまま取り掛かるということは、新入社員より数倍大変なんじゃないかと思った。
徹夜をしても間に合わずに、結局入稿作業の一部を私がやらざるを得なかった。
写真の扱いなど、全然できていないところもあり、本人はそこまで大変だという見積もりさえできていないから、何度か手伝うことはないかと尋ねたが、私に助けを求めずに徹夜をして、結局寝落ちしていた。
何やってんだと夫に怒られ、結局大遅刻をして学校に行った。そして先生にはすぐに来なさいと言われて、板挟みでしばし落ち込んでいた。
それで、
「もう、行かなかったのはお父さんのせいにしていいよ。終わらないのに行くなと言われたと先生に言っていいよ。」
と話したら、少しだけ気を持ち直したのか、改めて先生に電話をして状況を説明し、他の用事もある(やりすぎ)ので、 学校へ出かけて行った。
先生には、「勉強もあるし、体も壊すからこういうことはやめなさい」と注意をされたという。
その先生は委員会担当でもあり、おおまかな状況はわかっている。わかっているからこそその日欠席したのがただ事でないことがわかって電話をくれたのだろう。
それでも、その仕事と学校や生活の板挟みをどうするか、という話は本人に任せているのだろう。
じゃあ、僕がやらなければこの仕事どうなっちゃうの?
と、息子も言わない。
厳しいなと思うが、私も数年この学校での生活を見て、先生に配慮をお願いする考えは毛頭なかった。息子が自分で気がついてもっと早めに先生に相談をすればいいとは思った。
この辺が公立の中学校とは大きく違うところだろう。
だからこそ、「とにかく全然できていなくても学校へ行くのが正義」というふうに簡単に考えられなかったというのもある。
この時どうすればよかったか。
もっと早く相談すべき。
概要をきちんと理解すべき。
無理なソフトを使わない。
スケジュールについても相談すべき。
大変そうと気づいた時点で適切な人に相談する。
以前文化祭の委員をやったときも要領の悪さと危機管理のなさを話した。
夏休みの作業をクラスの全員に「来られる日を教えて」と言って、一人でも来られる人がいる日は必ず委員たちが作業に行った。時々今日は休めると思ったのにと愚痴をもらしていた。
例えば10日くらいの日程を委員で決めて、この日のどこかで何回か来てくれ、どうしてもダメな人は応相談。くらいにして、自分の休みを確保しなくてはダメだと話した。リーダーは下に振り回されてはいけない。
それでも、こんな経験を実際失敗しながらやれる機会は人生でそう多くない。こういったことを実地で身をもってやるのは就職してからという人が多いのではないだろうか。
しかも、就職先には先人の作ったそれなりに整った枠があって、そこに当てはめてやればいいから、こうすればいいのだということを、失敗しないで体験することになる。
今回も
「何度も原稿をお願いしているのに返事のない奴がいる」
などと泣き言を言っているのだが、
「そこをどうにかするのが上の責任なんじゃないの? そもそもその日に出さなくては大変だということを相手は把握しているのか? それでも話の通じないような人には例えばその人担当のページを白紙で出してやるのか、それとも早期に他の人に任せるのか、結局上が考えて結論を出さなきゃいけない。」
得るものはとても大きい。この失敗はとてもいい勉強だと思う、反省して次につなげられたらね、と伝えた。
しかし、まだ問題は継続中。
なにより勉強という学生の本分がおろそかになっている。これは解決すべき課題だ。