ドラマ『下剋上受験』もあり、親子で全力を尽くす中学受験というイメージも定着しつつありますよね。
実際、のんびり遊ばせていたり、持病があって受験を早くから考えていなかった我が家でも、いざ通塾を始めたらフォローは大変でした。
さらに息子はいろいろと困難も多く、テキパキとやっていくことができないタイプ。
今では放っておけば好奇心旺盛で学校行事には主力メンバーとして加わり、そのことでいっぱいになってしまう。
最近あまりに勉強できずにいるので焦ってしまい、顔を合わせればアドバイスという名の説教をしてしまうことが多いです。
自分の中でももちろんこれでいいのかと自問自答しながらではありますが、あらためて少し前に買った本を読み直してみました。
これは神戸セミナーという進学校などを中退してから難関大学を目指す子などが多くいる予備校の先生が書いた本です。
普通以上に勉強などに疲れたお子さんを相手にしているだけあって、子どもに100%寄り添った目線で書かれていますが、なかなか耳が痛いです。
やる気がないわけではないけれどもやりたいことが多すぎて、要領も悪いために物理的時間がない息子。最近では本人さえ
「俺も勉強したい!」
と言っているので、全くやる気がない子ではないのですが、内容には反省させられることも多いです。
一章では、勉強とはどういうものかや、勉強を嫌いにさせないために小さな頃から工夫することについて書かれています。
個人的にはこの辺はそう大きな問題もなくやってこれたかな、と思っています。
問題は二章。
タイトルから
「15歳を過ぎたら子どもの行動を変えることはできない」
がーん。そこまではっきり言われると…。
10歳までは子どもは素直。
まさに中学受験にチャレンジし始める頃ですね。
まあ、うちははなからやりたくなければやらない子ではありましたが、いまに比べたら全然かわいいものでした。
10歳から15歳は半分親の言うことを疑ってきている。
なるほど、中学に入るあたりからですね。もともと我が道タイプの息子も
「うるせえ。」
というようなタイプではありませんが、さらっと
「はいはい。」
「これからやるよ。」
などと言いつつしれーっと無視したりするようになりました。
15歳をすぎたら「自分の子」と思ってはいけない。
15歳は元服なのだそう。
一人前の大人として扱うことを勧められています。
まさに中学受験などの子どもが素直だった頃の成功体験を引きずってそのまま態度を変えずに細かいことを言い続けると、子どもは親を敵と思っていますから、ほとんどうまくいかないと。
そして三章で人の行動を変えるプロに学ぶというのが少しこの本の面白いところ。
うまく共感してくれる飲み屋のママ、出来る営業マン、服屋の店員。
セールだからちょっと見てよければ買おうかなと思っているあなたが買う気になるのは?
3タイプの店員をあげています。
商品を勧めまくる人、じっとみている人、注目しないで距離を置いたところにいる人…。
一目瞭然ですよね。親も子どもに適度な距離を持ち、なにかあれば力になるというところで「見守る」のが大事なのでしょう。
とは言ってもうちは、かなりのツワモノなので、見守っていたらどんどん勉強も生活態度もメチャメチャになっていたので、少し揺り戻しがありましたが。
ここが一番の悩みどころなのです。
ただし、
「厳しい指導」が成功するための条件も挙げられています。
目標が具体的で明確
自信を持っている
関係性が構築されている
(『あなたの子どもはなぜ勉強しないのか』より引用)
確かに今まで本を読んできたり周りの子を見ていて感じたことは、すべての子どもに同じ方法が有効ではないということです。息子はというと。
それなりに目標を持っている
(根拠のない)自信がある(教科によっては多少は裏打ちされたものも)
問題は関係性ですね。息子がどう思っているか。
やはり話はじめにすんなり聞いてくれないので、この本でも言っているように「否定されると相手は敵と思い込む」ということで、少し反発を持っている。反面、放っておくから自分でやってみろというとまだ無理だから見ていてと言う。
元服一歩手前なのか。
実際多くの子よりは課題もたくさんある息子。その分の工夫の手助けくらいはまだ必要かもしれないが、何回もいうのはやめようかな、とこの本を読んで考えました。
ただ、道は長いと思っているので、今でもたびたびできるようになったことは伝えたりもしているのですが、依然できないことが多くて困ります。
本では親の成功体験を話すのは逆効果と書いてありますが、実際私が息子の頃はダメダメでしたので、そこは事実のすべては伝えられませんが、私はその頃は遊んでいたよ、とは話します。ただ、目標も環境も全然違うからなぁ。あんたママと同じでいいの?と聞いてしまいます。
そういえば、部活の先輩で大変才能の秀でた子がいるのですが、彼の部屋は息子の部屋に輪をかけて凄まじい散らかり方のようです。
そして、今は遅刻が多くて会議にかけられるほどだと聞いて、こういう子は息子だけじゃないのだなとあらためて思いました。
息子の部屋の汚さにかなりストレスを感じている夫に、あまりきつく言い過ぎないようにと、伝えました。散らかしているくせに、片付けると怒るので本当に面倒。でも昨日は少し片付けてしまいました。
その先輩のお母さんは学業にとても優秀な方ですが、息子の部屋の凄まじさを笑顔で語っていました。まあ私も最近はだいぶ気にしないようにしたし、洗濯物などは自分で片させるのをやめました。その場にいた他の多くの先輩の部屋も似たり寄ったりだそうで、そういうことを聞くだけで、少し気が楽になります。
本書でも生活習慣についても細かく支持しすぎないと書いてあります。
四章、五章では具体例を出したQ&Aや言い換え集です。
最後に「なんでしないの?」と言うのは無駄と言い切られています。
大人は論理的に考えればわかるのにと思いますが(私もいつもそう思ってしまう)、ほとんどの高校生は「情緒的」であるのだと。
はぁ〜。もう100%の可能性なんてムリ。中学受験の親が最大限の力を引き出せるなんていう成功体験は、忘れたほうがいいのでしょうね。
だいたいもう言われることはわかっている。いるけどできない。できないのがどれだけ続くかはわからないけれど、自分で気づけないならそれもまたその子の実力。
そう考えるしかないのでしょうね。
息子の他の人より苦手なところ(時間管理・忘れ物)については、それなりに工夫するようにとアドバイスはしていくつもりですが、少し勉強面については一歩下がろうと思いました。(結局アドラーのいう、他人の課題だし。)
といったって、なかなかできないのですけど。何なら言いたくなるから成績表見せないでほしい。
この間は自らお茶の時間にNHK高校講座をネットで見ていました。
今度は本書にあるように、「がんばれ」ではなく「がんばってるね!」にしようかな。
ああー私は結構スパルタの進学校だったし、叱咤激励されて燃えたタイプなのでなかなかできない…。