そろそろなにか一冊読み終えたいと思っていましたが、たまたま読みやすそうな本があったので、一気読みしました。
今の就活って大変そうと思うのですが、いかがでしょう?
私自身は就活をほぼしなかったのですが、時代はバブルが弾けた直後で、氷河期は始まっていましたが、そこまで深刻でもなく、周りの友人たちも普通に内定をとっていました。ただ一人内定を取れずにアルバイトになった女の子がいたなぁという程度。
いまみたいに何十社も落ちまくるって考えただけでも恐ろしい。
面接は人をみるわけですから、それで通らないというのが続くと、自分の価値に疑問を持ってしまうのじゃないかと思います。
我々社会人でさえ面接で落とされたらショックですが、まだ、年のせい、家族構成のせいと言い訳にできるけれども新卒一括採用で評価されるとそういう風に逃げられない。
今の大学生は私たちの頃よりずっと真面目で贅沢もせず、真剣に将来を考えていると思うのですが、実際はどうなんでしょうか?
この本の著者は、若者を支援しているNPOの理事長です。
このサイトを見るだけでも実例が載っていたりと参考になります。実例ページで親が再出発へ働きかけてくれてよかったという子どものコメントもありました。
ドラマ「就活家族」を息子と見ていて、
「この立場になるまであと何年?」
と話していて、
「今から何年前って自分はなにしてた?」
「小学生で…え! このまえじゃん! えー! 社会に出るまでそれだけしかないの!」
と二人でひえーっと驚いていたのです。
しかもこれからの年数の方が小・中学生より格段に短く感じるでしょう。
なんとなくその前に大学受験という壁が立ちはだかっているので就職まで見えないのですが。
そんな感じで微妙に危機感を持ってこの本を手に取ってしまいました。
この本では主に大学を出た後三年以内に離職する若者が多い、そういう人たちに着目した本です。中には就職活動がうまくいかない学生の話も載っています。
ちなみにこちらで見られる表では平成15年から載っていますが、ずっと三割前後が三年以内に離職しています。あんなに辛い就活で勝ち取った内定なのに! ただ、辞めてもったいないとばかりも言えないと思うのです。
それを完全に「甘え」などと言い切ってしまうのは乱暴じゃないか。でも多いですよね。
本書では、そんな思い込みを持つ人の代表として、著者の友人に実情を理解してもらう形で具体例を紹介しています。
そういった人たちにこれといって決まった「きっかけ」「原因」などがあるわけではなく、百人百様なのだそうです。
実際を知ることによって、簡単にひとくくりに「甘え」などと言い切って責めることはできないのだと読者が理解することで、そういう若者への支援や理解が進むといいなと思います。
そのきっかけはそれぞれ違っているけれども、本書で印象的だったのは、いわゆる真面目なおとなしい子、それまでつまづくことなく大学を卒業した子などです。
真面目できちんとしている、失敗しないように職場でも二時間前にきてその日やるべきことのチェックに余念がない子は、実際は失敗したらどうしようという気持ちで疲れ果ててしまう。
出てくる子には高偏差値の大学出身の子も。大学までは勉強さえできていれば、そう問題もなく失敗もしないので、挫折もなかった。だけど社会に出たら違っていた。
語学も堪能で優秀な子。コミュニケーション能力もあるけれど、仕事ではうまくいかないことが多かった。調べたら空間認知能力が弱い。時間配分などが苦手など。自分を知ることで、仕事についても考えられる。
また、学生時代に友だちなどと協力してなにかを成し遂げたことがないという子も。
自分に何が合っているのかを本当にわかっていない、というのも働いてみてうまくいかない原因の一つかもしれない。
社会に出るということは、これからどう生きていくかという大事なこと。
そして大学受験までの「学業ができていればいい」という単純なものではなくなる。
それにしては、そういったいわゆる生命力というか、たくましく生きていく力を学ぶ機会は少ないように思います。
小学校でそういった集団の中でどうふるまうかという初歩は習っても、中学以降にそういう経験を意識してできているかといったら、疑問です。
リーダーシップ、協力、衝突したときどう解決すべきか、能力の差をどう乗り越えるか、手の抜き方、諦める力、危機管理などなど。こういうのってちょっとした班行動くらいでは培えませんよね。しかも自由にさせていると得意な人がやってくれちゃったり。大きな問題も起こらなそうだし。
公立の中学ならあっという間に高校受験。勉強をきちんとやること、あとは部活と両立すること。それでいっぱいいっぱいのような。
高校に合格すればそこから三年間で膨大なカリキュラムをこなすので、やはり学業に大きく傾く気がします。
中高一貫校ではどうか。時間的には少しそういった教育をする余裕はあり、学校によっては意識的に取り入れているところもあるでしょう。
それでも学校によっては進学実績を伸ばすために、親は少しでもいい大学に子どもを入れてもらうために、勉強のカリキュラムにばかり注目していないか。
大学へ行ったら、そういう機会はあるのでしょうか?
今の大学の教育について詳しくないので、その辺は気になるところです。
自分を振り返ればほとんどありませんでした。今は授業形態も講義ばかりでなくなってきていれば、そういうチャンスもあるのかもしれない。この辺は知りたいところです。
息子たちを見ていても、やる人はどんどんいろんなことにチャレンジするけれど、もともとそういうことに消極的な、「真面目で受け身で失敗を怖がる」子が黙っていても、試行錯誤や失敗をする機会に恵まれるだろうか。
少し話はずれますが、先日あることで息子と話していて、男子校で恋愛もわからないとしたら、辛さやせつなさや嫉妬や、独占欲などわからないことは多い。それを少しでもフォローするためには本を読むのがいいんだろうね。という結論になりました。
人生一回限り。自分が様々な経験をするには限りがあるけれども、人がした経験、そこから紡ぎ出された物語に触れることで疑似体験する。
その時は恋愛に限って話していたのですが、様々な体験・失敗・後悔をするためにはやはり読書は手っ取り早いのかもしれないと思いました。
他にもう少し実体験する場があるといいのですが、じゃあなにがいいかと言われると難しいですね。そもそも中高生になって親の言うことなんて聞きませんから。
息子の部活でも下級生が親に言われて入部したけれども辞めてしまいました。
親の言うことをよく聞く子って生きる力弱そうですけどネ。
やはり小学生時代からの地道な働きかけなのでしょうかネ。
親としては、この本を読んでなおさら、「(特に学生時代に)失敗を恐れるな!」と強く言いたくなりました。
あとは、新卒一括採用どうにかならんかな、とも。そもそも社会が失敗をさせない感じになっているんですよね。
でも本書ではつまづいても再就職をしている人の話が載っているわけです。大変そうですが、道はある!