『高1からの進路教室』は、高校一年生に向けて進路全般を書いた本です。
「進路を自分の意志で決めているか」という章から始まり、まずはおおまかな進路について考えるきっかけを与えてくれます。
専門的な仕事に必要な資格取得などを考えて進路を選んだ人には中退者が少ないそう。
取りあえずで進路を選んではいけないと言っています。
「偏差値やブランドに踊らされない進学選び」では、冷静に進路を見つめるようにと言うメッセージがあり、高卒の進路を説明しています。
その後、大学、短大、専門学校、その他教育機関について概要をそれぞれの章で説明し、最後に将来の産業について、目を向けさせます。
高校生向けだけあって、平易な言葉で、基本からそれなりに詳しいところまで丁寧に紹介されている印象です。特にこれといった目標もない高校生には全体的に参考になるでしょう。
そういう意味では進路を考える第一歩としてはとてもいい本ですが、だからこそ、中学生で読んでおきたいな、と思います。
なぜなら、すでに高校に入る時点である程度の線引きはしている人が多いからです。
例えば高校を被服や工業など技術系に進む、高専に進むという時点で、すでに数ある進路のひとつへ進んでいます。
また、進学校かそうでないかで、ある程度その後の受験は決まってきます。
内容は中学生でも十分読めるようになっています。
なんとなく学校の成績で入れる高校へ行き、その高校の一番多い進路を選ぶなんて、もったいない!
この本は2013年に出版されたものですが、この先の展望や大学の入試改革などにも多少ですが触れています。
これからどんな仕事が成長していくだろう、そういう中で自分はどこにいけばいいだろうということを考えるには、高校に入ってからではちょっと忙しい気がします。
全体を見渡す本なので、個人的にはそう参考になったところは少ないのですが、むしろあまり普段子どもの進路などに無頓着であり、子どもも特段勉強が好きではない、といった人には、大学へ行かなくても様々な進路があるということを知るには有用です。
奨学金を借りて大学へ行く人が半数近くいるという昨今。
無理をしてまで四年制大学でなくても、もっと堅実な選択肢がいろいろあることを知りました。
公共職業能力開発施設として、
職業能力開発校(六ヶ月・一年間)
職業能力開発短期大学校(六ヶ月・一年間・二年間)
職業能力開発大学校(二年間・四年間)
があります。
職業能力開発総合大学校(東京)の総合過程のみ、卒業生に大卒と同じ学士の学位が授与されるそうです。
授業料免除制度などあるところもあり、金銭面の不安がある人にも考えられる進路の一つでしょう。
さらに、大学などの夜間学部も紹介されています。
そういえば自分の身近でも仕事をしながら夜間大学に通っていた人は何人か知っています。
現在減りつつある夜間大学ですが、目的意識を持ってやる気のある社会人学生などもいて、刺激になるという見方も。また、学費も安いそうです。
奨学金を借りて昼間に通うか、夜間に行くか、考える余地はありそうです。
さらに省庁大学校についても。
こちらは学費がかからないうえ、それぞれの省庁の職員として採用されるために、給与や賞与を受けながら学ぶことができます。
国家試験に受かって、卒業後9年間は自衛隊病院や医官として部隊で働けば、授業料が無料になるそうです。
気象大学校は卒業後は学士の学位が授与されるそうです。
海上保安大学校は広島の呉にあるそうです。
こちらも学士の学位が授与されます。
航空保安大学校は国土交通省の職員となります。
航空管制官などの基礎研修などがあるそう。
防衛大学校は知っていましたが、他にもいろいろあって見ると興味深いですね。
航空とか気象とか、興味があったらかなり自分の興味に向けての進路がひらけると思います。
やはり、情報は大事ですね。
経済的に…とか、普通に企業を回って就活しても興味のある業界かどうか…などといった悩みも、単に進学をあきらめるとか奨学金を借りる、職種にこだわるのはやめる以外にも方法はあるかもしれません。
本書のような情報も考え方について、中学生のうちに教えてほしいです。
↓以前企業のつくる学校について取り上げました。