悩める子育て

幼児から中学受験→難関校からの大学受験、その先を考える

これから求められる人材とは〜大学入試改革から考える

息子にも大学受験が年々近づいてくるが、残りの学校生活をどう過ごすかはなかなか悩ましい。

 

こんな記事があった。

『「エリートの条件」が2年後のセンター試験廃止で大きく変わる』(ダイヤモンドオンライン)』

diamond.jp

 

「文部科学省(以下、文科省)では、『学力の三要素を大学入試で評価する』という方針を掲げています。『知識・理論』、『思考力・判断力・表現力』、そして『主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)』の3つです。これまでの筆記試験では、評価できる領域が『知識・理論』『思考力・判断力・表現力』に留まっていました」

『「エリートの条件」が2年後のセンター試験廃止で大きく変わる』(ダイヤモンドオンライン)』より)

 それに伴い、高校の授業もレクチャー型からアクティブラーニング型に変わっていくだろう。

 

もちろん、どういった入試方法になって、何をしたらその入試に強くなれるのかということは関心事ではあるが、こういった傾向が進めばなおさら、どの大学へ入ったかよりその人が何をしてきたかが大事になってくるような気がする。

 

これまでは1つのことを実直に積み上げる力があり、ストレス耐性もある人材が優秀とされてきましたが、これからはイノベーションが求められる時代です。そのため、新しいことに頭を突っ込んで色々な人と積極的に繋がって、ワイワイ楽しく生きている学生の方が優秀だと定義されるようになる

『「エリートの条件」が2年後のセンター試験廃止で大きく変わる』(ダイヤモンドオンライン)』より)

 

結構問われるもののレベルが高くなってきて厳しいな、と思うが、実際少し前に読んだ本に書いてあったことにも結びついた。

本書についてのインタビュー記事が参考になると思う。

careerhack.en-japan.com

 

インタビューでも書いてあるが、30代以下の世代について語っている。
上の世代は、社会にないものを生み出し、社会を作ってきた、そのことが幸せだったが、若い世代はすでにできあがってしまった社会にいるので、大きな枠組みを変えることができない。そこで、身近な家族や自分の生活などを大事にするようになるという。世代を「乾いている世代」「乾けない世代」と分けている。

 

上の世代と今の世代のモチベーションの違いを理解していないと、価値観やモチベーションの持ち方の違いゆえ不幸が起こります。

「乾けない世代」が自分自身をダメだとおもってしまったり、上の世代が下の世代を理解できず新しい可能性を摘んでしまうことがあります。

『モチベーション革命』より引用)

 

このような前提で、これからの働き方に触れている。

『人間がAIを使うか、AIに人間が使われるか、それすらもまだ分からない』という節があるように、従来評価されてきたやるべきことを真面目にきちんとやるだけの人材はいらなくなるのかもしれない。

AIの進化は予測がつかないと言いつつ、これからの仕事の価値についてこのように言っている。

ひとつだけ確実なことは、いわゆるワークだけの「サラリーマン的な仕事」の価値はどんどん落ちていくだろう、ということです。

『モチベーション革命』より引用)

 

そして、これからの強みとして、自分が何を好むのかという「偏愛」を突き詰めることだという。この辺は解説を省きます。

 

一番印象に残ったのは、『変化を生き抜く3つの選択肢』という節。

じゃあこれからどうしたらいいの? に3つの提案をしている。

ひとつめは、変化していくことをチャンスと捉えて、ずっと最先端を走り続ける生き方。「ライフワークバランス」を極め、ただひたすらに好きなことをやっていく道です。

『モチベーション革命』より引用)

「ライフワークバランス」というのは、仕事と好きがリンクしていて、それこそライフに仕事が溶け込んでいる。ゆえにいつでも仕事のことに考えを巡らせていることができ、それが結果に結びつくという幸せ。

 

 あとふたつは、宮大工のような伝統職でコツコツと働く、ベーシックインカムを享受して、フリーターとして生きること。

あとのふたつはどちらもそう多数の人が目指せるものではない。フリーターには現物支給のベーシックインカム社会としてインドネシアの話を出しているが、著者自身もAIやロボットなどによるベーシックインカム社会の実現など、先々どうなるのかは見えないという。

 

結局現実的に選ばざるを得ないのが、一つ目なのではないかという。

つまり、極端な選択肢を除けば多くの人達にとって、これからは「変化をチャンスと捉え、最先端を走る生き方」にシフトしていかなければならない、ということでもあるのです。

『モチベーション革命』より引用)

 

子どもや自分の将来を見据えて、この先どうなるのだろうと考えていて、実はうすうすそうなんじゃないかとは思っていた。

 

私も夫も技術系で、常にバージョンアップし続けないと成り立たない仕事をしているせいもあるが、息子が以前文系の学者になりたいと話した時に、そもそも興味を持って進んだからといってなれるのか、なれたとしたらどんな仕事をしていくのだろう、と漠然と疑問に思った。そこからこれからの社会がどうなっていくのか、40年後もある仕事ってなんだろうと興味を持った気がする。

 

話を戻すが、ずっと最先端を走るのはかなり大変だ。この節のインパクトは強かった。

ただ、様々なことに興味を持って、一歩踏み込んで学んでほしいと思うし、新しいことをやってできるようになっていくことの楽しみは味わってほしいと思う。

 

ここまでは『モチベーション革命』の第1章、第2章だが、この本はさらに、第3章でチームの作り方、第4章で個人の働き方について述べられていて、どれも面白い。

やはり働くことには人との信頼がベースになってくる。

 

 

本書でも、上に紹介した著者尾原さんのインタビュー記事でも人とのつながりについて語っている。  

社会が向かう先としても「金融資本主義」から「信用資本主義」に変わっていっているということ。岡田斗司夫さんがわかりやすく「信用の世界で上場する」と説明をされていました。つまり「あいつと一緒に仕事すると楽しい」とか「あいつと仕事をすると新しいことができる」と思われた人は“上場”する。放っておいても仕事が寄ってきて、また新しいことができ、新しい仲間ができる。好循環が起こりつづけていく。もちろん全てがトランスオーバーするわけではありませんが、そういったカタチで生きやすくなる人が増えていくのだと思います。

careerhack.en-japan.comより引用)

 

冒頭の入試の話とずれていると思われるかもしれないが、この先10年、20年どうなっていくのかと考えていくと、大学入試は一つの過程にすぎないという思いが強くなる。

 

それは以前読んだ本からも影響を受けている。

昨年読んだのだが、中高生の親向けにいい。
大学に入ってからさてどうしようかでは遅い。
いい大学に入れさえすればよかった時代ではないとすると、中学・高校・大学をどういう心構えで過ごしたらいいか。考えるきっかけになる。

 

さらに最近一気読みした本。

一流大学の大学生でもないのに、いち早く希望の就職を決めてくる。優良企業の採用担当者や、社長までもが、「おたくの大学生が欲しいのですが」とやってくる。自慢ではない。これは事実だ。「できが悪い」とまわりから見られ、やる気も見せなかった二流大学といわれている大学生たちが、一年間、私の講義を受けると、企業がノドから手が出るほど欲しい「人材」に変わるのだ。彼らは、就職試験用の勉強をしたのでも、面接のテクニックを知ったわけでもない。少数精鋭を求める企業側が、「こういう人なら絶対に大丈夫だ」「一緒に仕事がしたい」と思う人間的魅力や価値を身につけ、全身から発散しているからである。彼らがどうやって「自立して生きる力」を身につけ、自分の魅力を磨いていったのか。その記録をご覧いただきたい。

 (『「できない大学生」たちが、なぜ、就職で引っ張りだこになったか』bookデータベースより)

 

この本の前半の学力もやる気も自信もないと思われる学生達の講義風景に最初に著者がショックを受けるところ、いくつかのエピソードはドラマチックであっという間に読めてしまったが、少なからず大学時代に私が感じた講義と学生の悪循環を思い出した。
学生のやる気が先生のやる気も奪うのかどちらが先かわからないが、とても興味が持てるような講義は少なかった。
7、8年前だろうか、母校の講義をテレビで見て、以前とはずいぶん変わったものだと思っていたが、本書は2006年初版。少しずつ大学側も企業側も求める人材は変わってきたのかもしれない。この本を読んでいると、大学でどれくらい真剣に学ぶ姿勢を身につけさせてくれるか、学生がそれに応えられるかが大きくその後の社会人としてのスタートに影響すると思わされる。

日本の大学も入ってさえしまえば楽、という時代は終わりつつあるのかもしれない。
実際入試も附属校や推薦・AOなど、そもそも学力のバラツキは大きくなりつつあるだろうし、この大学だからこれくらいという指針がなくなりつつあるのじゃないか。 

 

書き始めは、中高6年間の過ごし方について書くつもりだったが、その前段階でその考えのベースになったものだけでお腹いっぱいになってしまった。
次回に続きます。

 

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