悩める子育て

幼児から中学受験→難関校からの大学受験、その先を考える

遺伝子で得意は決まっている? 早期教育は効果があるか?

こんな記事を読んだ。

dot.asahi.com

 

「早期教育は意味がない」と言っている慶応医学部教授の話。

最近別の新聞で読んだのだが、こちらの記事が詳しかった。

 

早期に質の高い教育を施すことが子どもの運命を左右すると考えている親御さんは多いものですが、基本的にはそうではないと思います。特定の勉強、科目が得意か苦手かは、教育効果よりも生まれつき決められていることのほうが大きい。これは運動能力にも同じことが言えます。

(『「早期教育は意味がない」慶応医学部教授が指摘、その理由とは』より)

 

子どもの能力や性格は遺伝子の影響が大きいという。環境による影響は良くも悪くもそう大きくないという。

 

過去記事で私も自分の苦手を過去に知ったことを書いた。

 

vt-maguna.hatenablog.com

 

わが子を見ていても、どうしても頑張れないところを見て習い事をやめさせたこともある。

 

だから、習いごとを始めた以上は「2年間続けるべし」「週3日はやるべし」などということにこだわらないほうがいいですよ。子どもが嫌がる習い事であるなら、“無理せずやめさせたらどうですか”、“他にやってみたいことを試してみてはいかがですか”と私ならアドバイスします。

(『「早期教育は意味がない」慶応医学部教授が指摘、その理由とは』より)

 

過ぎてみればあっという間の子育て期間。小学校高学年になれば、受験を考えて他の習い事を整理したりすることを考えると、幼児から小学校中学年までは短い。合わないものに時間を費やすのはもったいない。

 

嫌だと思っていることを無理にさせてもいいことなんてないわけです。なるようにしかならないと腹をくくるしかない。そしてそういう状況を悲観的にとらえず、どのようにすれば我が子のためになるか前向きに考えること。

(『「早期教育は意味がない」慶応医学部教授が指摘、その理由とは』より)

 

なるようにしかならない。うーん。実は時々そうなんだろうな、と思わされる。
周りの素晴らしく努力できる子だとか、才能が溢れている子を見ても、とてもじゃないが息子にそれを望んでも叶いそうはないと思わされるのだ。

 

親はどーんと構えていなくてはいけないのか。これは私の最近のテーマでもある。周りの情報に惑わされ、余計な焦燥感に苛まれて、それが無駄な小言になっていないか。

ちなみにこの先生はこんな本を出している。持って生まれた才能をいかに生かすかがキモなのか。

 

遺伝子といっても、兄弟間での能力や性格差もある。

息子の学校の友達にも、みんな同じ学校という兄弟もいれば、兄弟で全く異なるレベルの学校に行っている子もいる。

その辺の差を調べていたら、こんな記事に巡り合った。 

gendai.ismedia.jp

 

この記事の著者はこのような本を出している。

 

行動遺伝学によると、知能と学業成績が遺伝の影響が大きいとこちらでも言われている。

 

もしがんばっても学業成績が伸びないのなら、それはあなたにその才能がないことの強い証拠である。名門校進学や高学歴で勝負することは早い段階であきらめ、別の道を探すほうがよい。

行動遺伝学が示唆するひとつの、あたりまえの帰結である。

(『残酷な「遺伝の真実」あなたの努力はなぜ報われないのか』より)

 

ここまで言い切られてしまうと、じゃあ、どうすればいいのか、と途方にくれるかもしれない。

 

日本における教育機会の不平等:行動遺伝学的アプローチ

行動遺伝学による教育機会の平等についてのこちらの研究では、遺伝と家庭環境、独自環境における学力や教育年数などの影響を示している。

 

遺伝と家庭環境という子ども本人にはどうしようもない理由で、中3時点での学力の7割が決まってしまう。

ただ、親は指をくわえて何もできないわけではなさそうだ。

この研究者の一人中室牧子氏には過去記事でも触れた。

 

vt-maguna.hatenablog.com

 

中室牧子氏は上記記事でも紹介した『「学力」の経済学』で、 早期教育を受けた子は、非認知能力が身につくと言っている。

知的な部分ではなく、非認知能力という将来社会に出て必要とされる力がつくために、早期教育を施すことは意味がある。

 

www.benesse.jp

 

非認知能力とは上のベネッセの記事によると

◎目標を達成するための「忍耐力」「自己抑制」「目標への情熱」
◎他者と協力するための「社会性」「敬意」「思いやり」
◎情動を抑制するための「自尊心」「楽観性」「自信」

 といったもの。

 

中室氏は重要な非認知能力の一つに、ペンシルバニア大学の心理学者ダックワース氏の掲げた「やり抜く力」をあげている。

www.ted.com

 

さらに、学生時代の過ごし方なども非認知能力に影響があるという。

www.daiwa.jp

 

中学や高校に入ってから、急にリーダーとなるような子はなかなかいないかもしれない。となるとやはり、小さい頃からそういうものに物怖じせずチャレンジできるような素地を作ってやる必要があるかもしれない。

 

 親として考えるべきは、わが子にどんな才能があるか。才能には必ずしも学業やスポーツ、芸術だけではない、その子の特性みたいなものもあるように思う。
親の大事な仕事の一つは、子どもが生来持っている才能をどうやって気づいて引き出すかだと思う。冒頭の高橋医師が言うように、自分がかなえたかった夢を子に託すのではなく、その子に合った道を探す。

 

どこかで仏師が、「自ら彫るのではなく、木から仏を彫り出すのだ」と聞いたことがあるが、親も子どもへ自分の望むものを塗りたくるのではなく、彫り出すのが仕事。そんな気がする。

 

その際には、子どもの持っている才能を冷静に見つめ、  

にもかかわらず、学校でも塾でも親からも「できないのはおまえのせいだ。努力不足だ、勉強の工夫が足りない、やる気がない。だから成績が伸びないのだ」と成績の出来不出来の責任を子ども本人に押しつけている。こんな不条理があるだろうか。 

(『残酷な「遺伝の真実」あなたの努力はなぜ報われないのか』より)

 

こんな不条理を突きつけないようにしたい。 

 

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