受験もほぼ終わりのこの季節。
卒業式が終われば、新しい学校への準備に忙しくなります。
中高一貫校の中には早速たくさんの課題が出ていてのんびりできない方もいるでしょう。
◉たっぷり課題を出してくれる学校
塾不要と言われている、課題や補習が充実している学校に通っている場合、ひとまずはその課題をきっちりこなして、入学に備えればよいのでは。
入学後に改めて周りの状況や聞ければ先輩達がどのようにしているかを聞いて、塾が必要かどうかを見極めてはいかがでしょう。
◉何を目的にするか
当たり前のようですが、何を目的で塾に通わせるかを考えないで、なんとなく不安だから、周りが通っているからという理由で塾を選ぶのは、コストも無駄になりがちですし、効果も出にくいです。親子できちんと確認して、その目的を叶えてくれそうな塾を探すとよいでしょう。
・学校の授業についていけるように
→レベルや進度が学校に合っていること。質問や自分の教材への対応をしてもらえる。
→個別、家庭教師などが向いているかも。
→複数回聞ける映像授業+質問などフォローがあればなおよい。
・勉強習慣をつけたい、のんびりしているので刺激がほしい
→集団塾に毎回決まったスケジュールで行くことで習慣化。クラス分けがあれば刺激になる
・苦手科目の克服、得意科目の強化
→そこに特化した塾やカリキュラムを選択
→受験直前のフォローアップのためなど
・入塾テストが難しくなる前に
・入塾テストをクリアしないと入れない塾の場合は、難しくないうちに入れてしまおうという考えの方も。もちろんその他の目的もあるのでしょうが。
◉今すぐ必要なくても! 塾の資料を請求して入塾説明会、体験授業などを訪れる
まずは知ることから。費用やカリキュラムが自分にとって適切かを知るために必須です。
今すぐ塾は必要ないとお考えの方でも春のうちに見学や資料請求をしておく意味はあります。
・塾がどのようなカリキュラムで進めているのか、進度の参考になる
・季節ごとに送られてくる塾の各種イベントがわかる→参加すれば塾の紹介だけではない、大学入試についてやその他有用な講演会を聞くことができるなど参考にできることは多い
・いざ塾に行きたいときに、目安ができているとすんなり決まる
・塾のパンフレットが届く中で、子どもの刺激となる
・無料の模試や講習などの案内が届く。無料または単発で受けられるものもあり、入塾とは行かなくても、その時だけ塾を利用することができる。←これはしばらく塾なしで過ごすのにはありがたい。
というわけで、通える範囲の塾は特に(通えなくてもいくつか参考になることもあるが)資料請求をお勧めします。
ダイレクトメールはたくさん届きますが、受験終了するまでは価値あるものとしてその都度目を通しておくといいでしょう。
中高一貫校生の塾いろいろ(都内中心)
中高一貫校生は、通常の公立中学校の高校受験対策塾では対応できません。
進度が比較的中高一貫校生向けである、または独自のカリキュラムで定期テスト対策でない受験に必要な力をつける塾を探す必要があります。
なお以下の分類は記事のための私独自の分類に過ぎないので、それぞれの塾がどんなものであるかは、リンク先の公式ウェブサイトや資料請求でご確認ください。
単科や指導が独特な塾
◉SEG
英語は多読・多聴・ネイティブ講師のAll English
数学は公式に頼らず公式のもととなる考え方、発想法、基礎技術 を理解することに重きをおいている
いずれも小手先のテクニックでなくじっくりとその科目に取り組む姿勢が感じられる
数学授業体験に参加
少し好みが分かれるところか
◉平岡塾
英語専門。座卓にて生徒が向き合いながら受けるのが特徴的
人間教育・教養主義・文法重視
毎回ネイティブの講義も含まれる
webサイトにも英語に関するこの塾の考えが書いてあるが興味深い
・日本語と英語は違う→文法や訳読の軽視をしないこと
・思考力の重要さについて
英語の4分野についての指導方法などにもページを割いているので、一読の価値あり
読んだ限りでは、塾の信念にのっとりじっくりと英語に向き合い、地道に取り組むイメージ。宿題をきちんとこなしていれば確実に英語力がつきそうな印象。
子どもの周りでは辞めた子も多いと聞く。相性があるのかも。
◉K会
河合塾が母体
受験対策から脱却し、知的好奇心を育てる講座
一度講習に参加したことがあるが、受験や目先の定期テストから離れた学問に近い講座が多い
数学など高いレベルで本質的なところに触れたい生徒には刺激的な内容
一方で通常の定期テストの対策や受験には直結しないような気がする
◉大数ゼミ
「大学への数学」執筆講師が指導
誰でも入塾できる
中学一年生には先行学習、中学二・三年生にはパワーアップとしてどちらも数学を好きになるような驚きやひらめきを講義
「大数ゼミ」トップページ /東京出版「大学への数学」「高校への数学」「中学への算数」執筆陣による,難関大学入試対策の数学専門塾
体験に参加したが、数学好きにはワクワクするような講座。講師の説明もわかりやすかった。
◉鶏鳴学園
国語教育専門家による国語塾
論理的な力をつけるシンプルなトレーニング
「生きる力としての国語」として、受験を超えたスピーチ、発表、ディベート、作文を重視したカリキュラム
少人数のゼミ方式で活発に話し合いをする
机上の学習にとどまらないフィールドワーク(取材・インタビューなど)
2020年度からの共通テストに向けて、これらのアクティブ・ラーニングはより重要視される中、これらを設立以来実行している塾の指導は魅力的だ
◉Y-SAPIX
中学受験塾SAPIXの中高生向けの塾
高校生には理科や社会もある通常の進学塾だが、中学生からある「リベラル読解論述研究」という科目が特徴的
課題図書を読んで授業に参加し、討論をして文章にまとめる
「英語」では無学年制で能力に応じた講座を取れる
オンラインで英会話レッスンを受けられる
Y-SAPIX 東大・京大・医学部・難関大学 現役突破塾|難関大学へのファーストクラス
リベラル読解は、一人ではさらっと読み過ごしてしまうようなところをじっくり掘り下げることで、読解力の助けとなる
課題となる書籍のジャンルも様々な分野で、教養になるうえ、思考力もつき、小論文などに役に立つと思われる
自分の考えを言葉にする力もつくのでは
一般的な進学塾
◉グノーブル
ウェブサイトでは詳しい理念などは伝わらなかったが、受験向けに、主にプリントを解いて各自に合わせた解説をしていくベーシックな進学塾のイメージ
Gnoble 大学受験 グノーブル ― 知の力を活かせる人に ― 新宿・渋谷・お茶の水
周りに通っている人がそれなりにいるが、中学生のテキストはかなりベーシックなものだった。
受験勉強として英語力をつけるという観点ではそれなりに効果があるのかもしれない。
◉早稲田アカデミー
中学から学期ごとのテストによるクラス分けがあり、志望校別のコースが設定されている
担当講師のフォロー
中高一貫校 中学1~3年対象コース (大学受験) | コース・講座 | 大学受験の塾・予備校なら早稲田アカデミー
中学受験時少しお世話になったが、講師の方のフォローがあつい
模試のカウンセリングを受けた時の明確な指摘とモチベーションをアップさせる話しかけが頼もしかった
◉駿台中学部
高校受験向けと中高一貫生向けがある
中学生はスーパーαとスーパーコースがあり、中学3年生で高1の課程に入る
高校からは高校部と東大・国立医学部・難関大向けの駿台現役フロンティアに分かれる
中1の時に体験と無料模試を受けたが少しレベルが簡単で系列の他塾を勧められた
◉河合塾グリーンコース
地方ではグリーンコースは中学一年生から対応しているところもあるようだが、関東では中学三年から
中学グリーンコース 私立中高一貫コース | 大学受験の予備校・塾 河合塾
志望校ターゲットを絞った塾
◉東大進学塾エミール
駿台の東大受験専門塾
少人数制
指定校かつ入塾テストクリア
5教科全ての指導
駿台プロ講師+現役東大生のアシスタント
2018年度は33名東大受験のうち15名合格というかなり少人数のよう
◉鉄緑会
東大受験指導の名門とうたって、多くの東大合格者を輩出する。
東大有名進学校に通うものだけを指定校とする。さらに内部では学力別クラス分けをしている。
◉MEPRO
河合塾の中高一貫校生向け東大現役進学塾
プロ講師・大学生フォロー・担当チューター・採点、添削指導、オリジナルテキストが売り
◉Z会東大進学教室
双方向型授業
プレゼンテーション、ペアワークなどで判断力や表現力を育てる
映像授業でフォローできる(とっている科目にかかわらず英語数学の映像授業がみられる)
Z会東大進学教室メテウスの特長 | Z会東大進学教室メテウス 中学生 | Z会 | 双方向・多方向な授業スタイルで、変わりゆく大学入試に対応
仲間と共有することで、アウトプットする力や他の考え方、説明する力などがつくのではないか
一方そこに一定の時間を割かなければいけないので、この効果がどのように受験に活きてくるのか興味深い
◉増田塾
難関私立大学文系専門塾
強制自習というシステムで自習にもしっかり関わる
自己管理が苦手な生徒を支える強制自習・チェックテスト・補講
授業がない日にもチェックテストや補講があり、日曜日しか休みがない
個人的には自己管理が難しいというのが成績が伸び悩むのに一番大きいように思うので、そこをしっかりみてくれるのであれば効果的。勉強の仕方を教えてくれる。
映像授業の塾
◉東進ハイスクール
映像なので、近所の校舎で一流講師の授業を受けられる
担任制度でモチベーションをキープ
毎日通え、自宅学習も可能
春季、夏季などには無料招待講習をやっている
複数回それらに参加することも可能
無料講習中には自習スペースなどを利用することができる校舎も
映像では集中できないという子も多い
授業内容についてはなかなか充実した印象
レベルも基礎から難関大むけまで多様
◉河合塾マナビス
河合塾の映像授業の塾
高校生向け講座
河合塾の講師陣の授業が聞ける
基本的には東進同様塾に通って映像授業を見るというシステム
授業後に生徒に習ったことを自分で説明させるアドバイスタイムで理解を深める
季節の無料講習があるので体験できる
無料講座を体験したことがあるが、授業のラインナップ自体は、少し基礎よりな感じ
子どもの周りではあまり通塾は聞かないが、どちらかというと勉強が捗っていない子が行っている印象
まとめ:塾選びについて考える
先に書いた通り、塾の目的は人それぞれでしょう。
中高一貫校といっても、
◎レベル その学校のレベル、校内でのレベルと塾のレベルの合致
◎目的 補習なのか先行学習なのか、どこの大学を目指すのか
◎教科 限られた時間と予算で何を強化するか
◎相性 その子に合った塾の教育理念、授業、講師、フォローなど
◎情報 適切な受験や学習の情報が得られる場所か(東大・京大・医学部専門、私大難関校に強いなど)
◎予算 高3、さらに浪人まで見据えた予算内か
◎場所 無理のない範囲
これら多くの条件から選んでいくことになります。
中高一貫校と一言で言ってもカリキュラムの進度は学校により大きく違うので、進度やレベルが合わないところに行っても効果はないでしょう。
周りが行っているからという理由だけで選ぶのはもったいない。
こうやって改めてまとめて見ると、本当に受験指導にとどまらない学力、知力の向上を目的とした塾など魅力的な環境は多いです。
率直に、早くから行かせていたらと思ったのも事実です。
しかし! そこで大きな足かせとなるのが、一にコスト! 二にきちんと本人がカリキュラムを活用できるかどうか! 三に時間!
中学一年で入塾すれば、それこそ6年間、複数教科や複数の塾を掛け持ちすれば、私立の授業料に加えて膨大なコストがかかります。
さらに課題がたくさん出る学校では、塾の課題をやりきれず、学校の課題も中途半端になるという、本末転倒なことが起こる可能性が往々にしてあります。
本人のレベルや自習が追いつかず、せっかくいい塾に行っても内容がわからずお客さんだったと言って辞めた人も聞きます。
中学生になってすぐ入塾すると部活の予定もわからないため、実際通い始めてからかなりハードなスケジュールになり、最初はやる気があっても体力的にもきつい、などにもなりがち。
わが家ではコスト面も大きいことながら、この時間を作る面で大いに懸念されたので、
通ったけど効果が出ないで短期でやめたものと本人の通いたいという希望がなかったので結局塾に通っていません。
もちろん受験生としてノー塾では無理(息子にとってです。塾が不要な人もいるかもしれません)と判断しているので、考えねばならないのですが、塾の先生のお話だと、「(息子の学校の先輩でも)高3になってからうちに来たから結果が今一つで残念」という声も複数聞いたことがあります。
それは事実ではあると思いますが、それだけで早く通塾すればという簡単な問題でもないことでしょう。まずは本人が通塾する準備(時間やモチベーション)をすることが一番だし、全国を考えれば、このような塾のサポートがなくても、通信教育や独学などで志望大学合格を勝ち取っている人も少なからずいるわけなので、その辺はじっくりその家、その子の事情を考えて向き合うべき問題かと思います。
ただ、塾はしばらく行かせないから資料も不要というのはもったいない。
先に書いたように、自習する我が子のペースメーカーとして各塾の年間スケジュールなども利用できるし、無料の模試などを早くから受けることで6年間の長い中高一貫生の中だるみに時々刺激を与える糧になると思います。
それぞれの塾ではすでに春期講習などが始まっているところも多いかと思いますが、入学や進級前の時間のあるこの時期に先のことを考えて塾を調べて見てもいいかもしれません。