悩める子育て

幼児から中学受験→難関校からの大学受験、その先を考える

なんのために大学に行くのか

簡単なものに、ものを考えずに反応する

最近特に東大生を扱う番組が増えてきましたね。

個人的には、突出した才能や、変わった嗜好の方などが出ていて面白いと思っているのですが、一般的にみなさんもそういった単純な興味関心があるから受けるのでしょうか?

 

ただ、何についても東大ばかり持ち上げるというのは、なんだか違うような気がします。

例えば中学受験などでも、難関校に関する本は、書籍としてもいくつもあるのですが、それ以外の学校についての書籍というのは圧倒的に少ない気がします。

もちろん、名門校、進学校としての教育方針が興味深いものだというのはありますが、実際の学校を目指す人としてみたら、中堅クラスの学校にスポットを当てた本があってもいいのではと思うのです。

 

大学に関してもしかり。東大に様々な人がいるのはわかった。でも、他の大学でもこんな学部でこんな面白いことをしている人がいるとか、この大学はこんな雰囲気だとかそういうのに触れたりもしたいな、と思います。

しかし、そういった興味関心に応えるべく番組作りをしているというよりは、とりあえず東大っていえば受けるから取り上げとけ、的な意図が見え隠れしていると感じてしまいます。

 

巷で話題になることが目で見て簡単なことばかりで騒がれるような気がして、違和感を持ちます。レッテル付け、ランキング好きとでも言うのでしょうか。

そればかりで判断されるから、学歴詐称なんかもあるのでしょうね。結局学歴が高くないと相手にされないという。実際社会に出たときに、それはほんの一分野の才能に長けているだけにすぎないのに。

就職のために大学にいくのか

そして、学歴や就活などの話題になると、とかく「就職に有利」ということばかりで語られることが多いような気がします。

 

実は私も自分の進路選択の時は、高校は大学受験の予備校的なところに入れば楽、大学は行けそうな中で偏差値が高くて有名な大学を選ぶ、そこから大手企業就職、といういい加減な考えを持った結果、高校時代の思い出がそう楽しいものでもなく、大学では課外活動は楽しんだし、大学のカリキュラムに関しては、学部選択ミスと大学への不満と両方混ざって、あまり充実したものとは言えませんでした。

 

まず、女子なので、短大の選択肢を親に指摘され、有名短大以上の偏差値の大学に合格することが条件で、浪人を認められず、失敗も避けなくてはいけないことが前提でした。

 

あとは、自分自身が学問にそう興味がなかったこと、受験する前までは大学卒という肩書きが希望職種に必要だったので、学部にこだわらず、6大学受験しましたが、なんと細かい専攻まで入れるとかぶっているものは一つもありません。

 

実際入って二年は教養課程で、それはそれぞれ楽しく感じられたのですが、専門に入って、授業のカリキュラムがあまり面白いものでなかった、先生側のその専門に興味を持って欲しいという熱意が感じられるものが少なかった。中には面白いものがいくつかあったが、他専攻のものだった(単位にはなる)。それで、結局4年生の卒論で困ってしまうわけで、お粗末なものでどうにか卒業単位をとったという。

 

自分の向き合い方も悪かったのかもしれませんが、授業など聞いていない学生や大学その講義等に失望があったのも事実。いま時々テレビで見るような刺激的な講義などはほとんどなかった。
それと一番大きいのが、自分がそう興味がない分野を専攻としてしまったこと。
教養課程で受けた中には、できたらもっと深く掘り下げたいと思ったものも多くありました。というわけで、学部選び失敗と、大学側の微妙な講義と両方で、自分が学問をしたという意識はあまりありませんでした。語学の「勉強」は結構していたとは思いますが、それも大学受験時の比ではありません。

大学進学率、女子では1割だった頃にわざわざ行かせてもらってこの体たらく。

私はその間別の道を模索すべく、専門学校にダブルスクールやアルバイトで就職のための勉強をするわけですが、それはまた別の話です。

 

いまもう一度進路を考えるのであれば、きちんと学問と教養を身につけたかった、と思うのです。そのためには、進路選択を慎重にすべきだったし、大学の授業が自分の満足のいくものかどうかをわかる範囲で知りたいと思います。

f:id:vt-maguna:20161023155029j:plain

大学進学は楽になってきた

ベネッセの資料に「高校生・大学生は大学に何を求めているのか」というものがあります。

http://berd.benesse.jp/up_images/magazine/023.pdf

 

特に、高校の学力偏差値別に見ると、偏差値 50 以上 55 未満では約 50 分減っています。

一方、現役生の4年制大学合格率を見ると、1990 年は約 50%だったのが、2006 年では約 86%となっています。

この二つのデータを重ね合わせてみると、大学進学競争の緩和に伴い、高校生の学習時間が減ってきていると推察できます。

以上引用 

 

いまは昔より大学に入りやすくなっているため、高校生の勉強量が減ってきているそうです。
確かに自分の頃、おそらく受験した大学で一番高い倍率は25倍でした。いまの学生の方が同じ大学でも入るのは容易なんだろうな、とは思います。

 

このような高校生が大学入試にどのような意識で臨んでいるのでしょうか。図1を見ると、「受験勉強は自分の学力を伸ばすよい機会だ」と思う一方で、「受験に失敗し、行き先がなくなるのは怖いことだ」「大学受験は、できるだけ楽に済ませたほうがよい」と思う高校生が5~6割います。失敗せずに楽に進学したいという意識が垣間見えます。

以上引用 

この文章実は全部引用したいくらいなのですが、かいつまんで。

 

未熟な進路観

現在の高校生の半数は大学卒業後の職業をあまりイメージできずに進学しているようです。

<中略>
また、「大学に行けば、社会で活躍するための実力がつく」に80.9%の高校生が肯定的に回答しており、大学に行きさえすれば何とかなると考えているのです。

 大学で学生が主体的に学ぶようになるためには、「就きたい職業」があり、そのために学ぶということが重要な要素の一つですが、それが有効に働いているのは高校生の約半数に過ぎないことが分かります。

 

私は、就きたい職業ありきで受験したものの、そのために学部で何を学ぶかが欠落していた、あとは大学に入ってからその進路選択でいいのか疑問に思い、進路変更をしたという意味で、全然活かせていないというのは同じなのですが。

しかし、いまはこれだけ情報があり、職業について調べることは私たちの時代より数倍どころか数十倍簡単になっていると言えます。

どこまで信じるかはおいておいても、とある職業についている人の意見を聞こうと思えばブログやSNSなどで容易ですよね。数を増やせばおおまかな全体像が見えてくるでしょう。

 

特に高校生について目立つのは、「生徒の基本的な学習習慣が確立していないこと」「進路を決めきれない生徒が多いこと」「現実味のない進路希望を抱く生徒が多いこと」でした。つまり、高校教員も、高校生の意識調査結果から浮かび上がってきた課題のとおり、学習習慣の未確立と進路観の未熟さが課題だと考えているようです。

以上引用 

 

「進路観の未熟さ」というのは私も勉強を見ていた中学生で感じたことがあります。
勉強は嫌いで大学に行くつもりがない子が、中学生の時点でとある芸能活動に憧れていました。それでもなかなかどうしたらそうなれるのか、なるのにどれだけ大変かということを調べるわけでもその準備にどうしたいというビジョンもありません。
あと三年で社会に出なくてはいけないのですが、あまりその辺のイメージがないようでした。

結局そこまでの熱意もないものだったということで、親御さんにも反対され、本人も普通に高校から学校の推薦で就職を決めていました。しかし、そこの労働環境が悪く、すぐに辞めてしまいました。学校にそういった劣悪な会社の求人が来るのかと気になりましたが。

 

大学を出ても会社をすぐに辞めてしまう人も多い

大学に行ったからといって、これが4年引き伸ばされただけ、という人も多いのでしょう。私の受験ではありませんが、就活してどこか内定をもらったところが「縁のある会社」。そうして、たまたま入ったところをすぐに辞めてしまう。

 

厚生労働省のページにある資料です。

www.mhlw.go.jp

新規大学卒業者の事業所規模別卒業3年後※の離職率の推移

http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/dl/24-18.pdf

 

新規大学卒業者の産業分類別(大分類※1)卒業3年後※2の離職率の推移

http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/dl/24-19.pdf

 

大変興味深いのは、事業規模の大きいところほど離職率は低いということ。
あと、25年と26年はどちらも1年後の離職率だが、26年がどこも前年より半減していること。何があるのでしょうか?

 

また、産業分類別を見ると、どの業界が大変そうか、はたまた流動的か、ということが結構あからさまにわかります。

 

さて、なんとなく入れる大学に入って内定をもらえたところに入って、間もなく離職。就職というのは、人生の多くの時間を費やす職場を選ぶということ、人生を左右する大きな決定です。

 

それを私たちの就職する時代はなんとなくでも一生面倒見てもらえ、年功序列で頑張っていればどんどん給料も上がるという希望もあったけれども、いまの若い人には、そう呑気な話でもないと思うのです。

 

就職を考えるのも大事ですが、高校から就職までの間の4年間、社会に出て行く準備をする大事な時間を大学でどう過ごすのか。

難しい入試を勝ち抜いたらそれで終わり、ではないし、社会に出て望まれるのは18歳時の成績ではないと思うのです。

 

上のベネッセの記事に戻ります。

 それでは、将来への意識が希薄な高校生を対象に進路指導をする高校教員は、大学選択にどのような課題があると捉えているのでしょうか。

<中略>

一方、「生徒には、教育内容よりも就職率のよい大学を勧めたい」の肯定率は約2割でした。高校教員は関心のある学問から学部・学科を選択するように指導しているとおり、単に就職率がよい大学ではなく、教育内容をきちんと見て進学先を勧めようとしている姿勢がうかがえます。

以上引用 

 

 

ここで取り上げられている「学部系統・合格偏差値帯別 大学進学の理由」というグラフも面白いです。いまは大学進学率も上がり、私のように大学卒の学歴が欲しいというのは大前提であるからこそ低いような気がします。

それでも学部によって意欲には差があるようです。

 

 そこで、現在通学する大学に入学した理由として、図7で「学びたい学問が学べるから」を選んだ割合を学問系統別に見ていくと、人文学、理学・工学系統では6割前後、経済・経営学系統では4割前後という結果でした。学部系統を詳細に見ていくと、その割合は人文学・外国語学・理学・工学・医療・看護学系統に多く、一方、社会科学系統は比較的少ない傾向にあり、特に経済・経営学系統では「学びたい学問が学べるから」を大学選択の理由とする学生は半数以下でした。

 以上引用

 

経済・経営学系統では、「社会に役立つ知識や技能を身につけたい」という人が他系統より多く、一番の目的となっています。

 

進学した大学を選択した理由に「学びたい学問が学べるから」を選んだ学生は、専門の学びに積極的な傾向が見られました。それと呼応するように「学びたい学問が学べるから」を大学選択の理由としなかった学生は、専門の学びに積極的な人の割合が少ないという結果が出ました。

以上引用 

 

なるほど、やはり私のように学びたい学問で選んでいない人よりずっと充実して学問に向かえることでしょう。

 

最後の「主体的な学びと社会で求められる力」は大変有益なデータかと思います。

ぜひ興味のある方はリンク先をみてください。

 

「就職活動をした大学生(N=1,702)における、内定の有無と各能力の自己評価との関係」でのグラフですが、内定の有る人と無い人で自己評価がだいぶ違うこと。それからどの分野に開きがあるかということがわかります。あくまで自己評価ではありますが、採用するにあたってどんな人が実際求められているかを考えるのに参考になると思います。

 

内定を得た学生のほうが、得ていない学生よりも自己評価が 20 ポイント以上高い項目は、ディスカッションスキル、プレゼンテーションスキル、目標設定力、チームワーク力、主体性、自己管理力でした。ジェネリックスキルに類する力が見られることが大きなポイントであり、言い換えると、大学ではそれらのスキルの育成が重要であることが分かります。

以上引用 

 

これら「ジェネリックスキル」を大学で身につけられることが望まれます。

 

別の調査結果からは、正社員での就職率は、大学でゼミに力を入れたかどうかで違うことも分かっています。<中略>

また、大学でアクティブ・ラーニングの機会が「よくあった」と回答した学生は、「ほとんどなかった」と回答した学生に比べて、4~12 ポイント、正社員としての就職率が高いという結果が出ています。

 大学で主体的な学びを経験した学生は、社会で求められている力が付いているといえるのでしょう。

以上引用 

 

息子に大学にどういう目的で行ってほしいか、どんな力をつけたらいいのか、もう少し続きますので、また次回。

 

にほんブログ村 教育ブログへ
にほんブログ村