勧誘の受け方
私が大学に入学直後、まだ学生の召集前で知り合いもいないので、一人で新入生向けのサークル勧誘を見に学校に出かけました。
もちろん勧誘されまくりで、チラシを渡されながら歩いていると、とあるサークルが説明会を開くから来ないかというのでついていくことにしました。
あとから考えると、この団体は大学のサークルではなかったのかもしれません。なぜなら、通常のサークルが勧誘ブースがあるところ、その人は歩いている私にふらっと声をかけてきて、そのまま近所だから、と学校を出てしまいました。
何もわからない私はノコノコついていくと、すぐ近くに学生が住んでいそうなアパートが。ドアも開け放たれていて、いかにも勧誘中という感じで別の意味の危険はなかったのですが、そこでは狭いスペースに長机がおかれ、マンツーマンで勧誘活動がなされていました。
哲学系と銘打って誘っていましたが、途中からどうも新興宗教くさい雰囲気でしたので、「あまり興味がありません。」というと、
「そんなことでこれから生きていくのにいいわけはない」と説教がはじまり、また
「そうは思いません。」と反論すると、
「それは君が間違えている」
と。
「じゃあ、考えて出直します。」
というと、
「今日決めないと、〜」とかめちゃくちゃな言い訳をして引きとめようとします。
15分くらい話したでしょうか。うんざりしたころ、私の担当がちょっとだけ席を外しました。
隣で勧誘されている男の子は私より前からいましたが、感情的になって正論で返そうと怒鳴っていましたが、百戦錬磨なのか、相手はああいえばこういう、で延々と終わらない様子。
それを見て私は、何か言えば言うほど反論され、それに反論しようと真剣に考えるほど、自分の意見に少しでも綻びが出てきて、相手の言うことの方が正しいかもと思うことがあると、逆に簡単に寝返るのではないか、という気がしてきました。
それで、担当が戻ってきてさっきの続きだけど、と始めてからは一切相槌も打たず、一言もしゃべらずに石のように固まっていました。
すると、あまりにもあっけなく「わかった、もういいよ。」と解放されました。
隣では相変わらず男の子が切れまくっていました。
なるほど、無反応というのが一番やりにくいのだな、と学習しました。
無反応の子ども
何度か書いた知人親子。お父さんが怒りを子どもにぶつけ続けるのですが、とにかく子どもの言い分は理解しない。
お母さんから聞いた話では、しまいには子どもはお父さんが何を言っても無言で無反応でやり過ごしているそうです。
要するに、もう一切親の言うことを受け入れないし、自分をわかってもらえなくてもいい、という覚悟の末の行動だったのだと思うのです。
いま反抗期の息子に悩まされている我が家ですが、息子がなにも言い返さなくなったとしたら、それは親が見放された時なのだと改めて肝に銘じることにします。