「ウワサの保護者会」のスペシャルを見た。
不登校について。
今回の内容で新しい発見だったのは、不登校になる子に理由がはっきりしない子がいるということ。上のリンクで概要が読めます。
不登校というと、何か原因があるから、それを解決できれば不登校も解決すると思いがちだし、なんとなく私もそう思ってきたが、意外と本人にも明白な理由がわからないケースがあるらしい。
親としては、いじめなどはっきり行かなくていいよ、と言えるような明確な理由がないのなら、甘えてないで行きなさいと言ってしまいそうで、コメントしていた保護者の方の苛立ちがよくわかった。
「ええー、理由がわからないってなんなの?」
と最初は思ったのだが、そういえば私自身が高校を辞めたいと言ったのだって、はっきりと嫌なことがあったわけじゃないことを思い出した。
以前書いた記事であげた、文科省の資料でも、いじめが原因というのは非常に少なかった。
情緒的混乱・無気力・いじめ以外の友人関係の悩みなどが多かった。
私自身はどうだったか。以前もどこかの記事で書いたと思うが改めて。
下町の不良から、一流企業の社宅まで揃っている、テストをすれば0~100点までいるような中学校だった。
自分は、どちらかといえば上位にいたし、バリバリの不良の先輩なんかは怖くて近寄りたくなかったが、それでも学校は楽しかった。
逆に受験をして、自分と同じくらいの学力の集団に身をおいたにもかかわらず、居心地が悪かった。もともと前の中学校でも私は成績にかかわらず優等生ではなかったから、「水が合わなかった」のだろう。
実際私が中学で仲が良かった仲間は、一人が就職(その後すぐ辞めたらしい)、二人は早速中退その他の子も多くが高卒で就職といった感じで、自分と似たような子はいなかった。
それでもその地域トップの進学校で普通に友達は複数でき、友人関係の悩みはなかった。強いて言えば、真面目に勉強しないのがたたって、成績がドンジリの方だったショック。
辞めたかったのはこの入学当初だった。
だけど、なんとか成績も持ち直し、彼氏もでき、最終的には成績も上位層に食い込んだが、それでもその学校は最後まで好きになれなかった。毎日生徒手帳のカレンダーにバッテンを加えては、あと何日で卒業できる、と数えていた。試験前は友達と問題を出し合った。面白い漫画もたくさん貸してもらった。彼氏と登下校もした。
それでも嫌だったのはなんだろう。嫌いな先生がいたわけでもない。部活はそもそもしなかったので、トラブルもない。
アウェイ感。
一つ感じるとしたら、それかな、と思う。
でも、中学でも同じくらい大勢の生徒がひしめいていたし、特別部活で汗を流したわけでもない。先生に可愛がってもらったわけでもない。
3年たっても見たこともないような同学年もいたし。何が違うんだろう。
真面目な子が多い学校だった。地域の二番手校は、自由な学校だった。浪人を許されていなかったから、受験に対して面倒見のいい真面目な進学校を、自分には合わないけどとわかって選んだ。実際二番手校に行っていたら、高校生活を謳歌して、大学受験に失敗したと思う。結果オーライとしか言いようがない。
そういえば、と思い出したが、私はなぜか辞めたいと思っていたが、病欠以外で休んだことはなかった。不登校という選択肢は自分にはなかった。
中退するのをやめたのは、私より先にクラスの男子が中退したからだ。
「今日は◯君は風邪で休んでいます」
そんな日常的な報告と同じテンションで、担任は
「◯君は学校を辞めました」
と一言で終わりだった。その、ほとんど言葉を発したこともないおとなしい男子について、周りの反応も特になかった。それが怖かった。義務教育じゃないってこういうことか。
それで、逆に目が覚めたのかもしれない。そもそもこの学校に入ったのはなんのためかと切り替えるきっかけになったのだった。辞めなかったのが、実はこんなマイナスな経験だった。
改めて自分の経験を振り返れば、今親として、子どもが学校へ行かないと言い出したときに、理由を問い詰めることに意味もないとわかる。
かといって、美談的な先生の熱い励ましが効果的でないこともわかる。
ただ、これは私の場合だ。
私はその後ズルズルと勉強をはじめて、少しずつドンジリでなくなりつつあったが、再度その中途半端な私の目を覚まさせたのが、「男女交際大反対!」の強烈な二年時の担任だった。
登校時に先輩と通うのを見かけたらしく、親にどういうつもりかと言った。
親は知っていたし、私を嗜めることはなかったが、ここで私に火がついた。
「そんなことをしているから成績があがらない。」
という担任の主張を覆したくて、本気で勉強をやることになる。
結局、どっちも先生的にはいかにも厳しい進学校の教師といった態度だったのだが、結果的に私は学校も辞めなかったし、成績もあがった。
だけど、この厳しさがどの子にも有用かといえばそうではないと思う。
1年時の冷たい担任に恐れをなして、私も辞めるとなるかもしれない。2年時の怒れる担任にひるんで交際も辞めて、スランプになってしまうか、開き直って恋愛に溺れるか。
子育てに正解ってないんだろうな、と思う。人間ってそんなに単純じゃないのかも。
改めて思った。
番組では7年と長期にわたって不登校の人もいて、親としては恐ろしいし、保護者の方の焦りみたいなものはひしひしと感じるのだけど、大事なのは、子どものことを認めてあげることだと言っていた。
確かに私が中退すると言ったときも、交際を先生に指摘されたときも、母は私を否定するようなことは言わなかった。
「学校を辞めたらもっと大変だよ」
と言われたのは覚えているが、私が専門学校へいくとか、自分で頑張って大検(当時:現在の高卒程度認定試験)をとるとかいう安易な発言も、否定しなかった。
そういう自分の経験があったからこそ、少し個性の際立つ息子の環境には結構神経を使った。小学校も公立ながら選択して行けるところにした。本来ならば中学受験など考えるタイプではなかったのだが、彼の特性にあったところ、居場所がありそうなところ、と考えてきた。
「僕も受験しなかったらわからなかったかもねー。」
途中から見ていた息子が言った。
「ま、でも大丈夫だと思うけど〜。」
小学校から特殊な環境にいた君にはわかるまいよ。
そう。でも、番組ではそれまで仲良く友達ともうまくやってきた子が突然不登校になるなんてケースもあった。残りの数年、何があるかもわからない。今のところ楽しいと言って通ってくれているけれど。
実際ちょっとした友人とのトラブルで不登校になってしまう子もいるだろう。うちは起立性調節障害も軽かったが、未だに時々体調を崩しては医者にかかったりしているので、そういうことで学校にいけなくなることもあるかもしれない。
そういうときに慌てずに、子どもを受け入れられるか。
結構難しいと思ってしまう。
そして、改めて思い出すまで、自分も結構親を悩ませていたし、明確な理由もよくわからず行きたがらなかったということを忘れていた。番組の中で、どうしようもなく悩んで、
「生きてるだけで丸もうけ」と達観(していたのだろうか、慰みだろうか本心はわからない)していた保護者の言葉には、改めて自分の子どもとの接し方を考えさせられた。
久々のUP!