悩める子育て

幼児から中学受験→難関校からの大学受験、その先を考える

大学中退して何をする? 子どもと進路を考える

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すでにご存知の方も多いこのエントリー。
タイトルだけは目にしたものの、タイトルで記事内容も窺えるしあまり興味もなかったのですが、今日ようやく読んでみました。
コメント欄は批判の嵐。
息子を育てる保護者としての感想を。
率直に言って、「こうはなってほしくない」と思いました。では、なにが必要なのか。

そもそもなんで大学を目指すのか

この方は大変ピュアですよね。
他のエントリーをあまり読んでおりませんが、彼の生きてきた背景に大変興味があります。もうすこし早く自分の生きる道について考えてこなかったのか。

ご両親はどう生きていて、どうして大学に入ることになったのか。
人の目を気にする性格で、帰宅部志望と決心していたのに大変な部活に入り、辞めることもできない。決断力のなさがうかがえます。

何も考えずに大きくなり、周りに流され、たいしてやりたいように生きられない人は多いのでしょうか?

そして、部活を辞めるということさえできなかったのに、「皆を見返してやりたい」と、いきなり大学を辞めてしまうなんて暴挙に出る。 

放っておいても好き嫌いがある子は、親子で将来について考えるのもある種楽でしょう。こだわりがある子は早くからそれを知っていて、
「こういう風にはなりたくない。じゃあどうすればよいか。」
という思考になる人も多いでしょう。

では、特別なにかに興味も持たず、楽な方に流れる子、意外と多そうなこのタイプの子に親はどう働きかけたらいいのでしょうか?
大学に行く目的は、早いうちにきちんと考えたほうがいいと思いました。
学歴を取得するため、単純に学問するため、資格試験などに必要だから、また時間があることで社会勉強をして、自分の職業について考えるため。

職業について一緒に考える

今後息子たちが就職するころ、どんな環境にあるか。おそらく非正規雇用が常態化して、安定してそれなりの収入を得られるのは限られた人になっていくということ。

「非正規雇用」の現状と課題 - 厚生労働省

 ↑pdfファイルです。

これによると、平成27年度の非正規雇用の割合は37.5%。
子育て中など望んで非正規を選ぶパート主婦などもいますが、正社員として働きたいが働けない不本意非正規の割合は16.9%。
時間あたりの賃金も、50〜54歳が一番差があり、正社員が2,457円に対し、正社員以外の一般労働者(短時間労働者は除く)は1,232円と半分になってしまいます。

また、正社員なら満足かというとそういう問題でもありませんよね。
労働環境が著しく悪いなどで、体調や精神に支障をきたして、その後退職を余儀なくされるケースも多くあります。
給与の他にそういった環境のいい企業に勤められるのも一部の人です。

また、企業生存率というのを見ても、長い年数生き残れる企業はほとんどないそうです。

askigyou.net

子どもに現実を見る視点を持たせるということが大事だと思います。

やりたい進路を選ばせてあげたいというのは親心ですが、それで食べていけなくては元も子もない。そういう現実を知らせることも親の務めだと思います。

今、息子は学者になりたいなどと簡単に言っていますが、そして確かに向いていそうなのですが、学者で食べていけるのかなるべく具体的に調べてみなさいと話しています。たまたま図書館から借りた和田寿栄子さんの『子供を東大に入れる母親のちょっとした習慣術』という本で「◯学科をでても食べられない 」(ここでは敢えて書きません)という見出しを見て、息子はうなっておりました。「学者って食えないのかなー」。

余談ですが、和田寿栄子さんとは和田秀樹さんのお母様です。大変変わったお子さんだった秀樹さんとその弟をどんな風に育てたかを書いてあります。
和田秀樹さんの著書は何冊か読んだと思います。
ちょっとガツガツした感じであまり好きではありませんが、情報として参考になるところはあるので。
この本でも「学歴は大事!」と説いていらっしゃいます。
ひとつの見方として参考にはなるかな。気が向いたらレビュー書きます。

仕事=やりたいことと考えがちな息子に時々、
「本当にやりたいことがあるなら、まずは稼いでそのお金でできるようにするといい。」
と話すのですが、あまり意味はわかっていないようです。 

収入が低いということは、結婚や子育てに関わってきます。
収入の低さで共働きを選択するとき、家事や子育てに影響しないとは言えません。
子どもの学歴にも関わってきます。

毎日の生活がいっぱいいっぱい。
そもそも職業はその毎日のために選ぶわけですから、理想だけで突っ走るのは厳しいわけです。

そういった仕事選びに関する常識的なことを少なくとも高校生になる前には考えさせないといけないと思います。いつも言うように、高校選択がその後の進路に大きく影響するわけですから。

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自分で人生を選択していくのだという意識を持たせる

流されている人に多いのは、誰かのせいにすること。嫌でたまらない部活を辞めないのは自分です。その結果、おそらく大学について考えたり、勉強したりする時間を自分にとって苦痛でしかない部活で浪費してしまっている。

中には親が無理強いして本人が動けない場合もあるかもしれませんが、自分がすべて選択していくのだ、と考えることで、人生をより真剣にかんがえるのではないでしょうか?

失敗があまり許されていない日本の社会について知らせる

これも職業とかぶりますが、日本では新卒以外はイバラの道のような気がします。
よほど才能のある方以外は、転職=収入減なのではないでしょうか。せいぜい第二新卒くらいまでが、まともに大手に取り合ってもらえるのではないでしょうか。

中途採用で期待されるのは、もっと使える人のはず。
そして学歴至上主義。先日も『HOPE』というドラマで高卒の主人公がいかに活躍しても正社員にしてもらえなかった現実を描いていました。

自分は起業だから、と思っても上記のように起業に失敗した後残るのは借金や高卒という肩書きです。
初めから高卒として真面目に就職するのと、大卒資格を取れたにも関わらず安易に蹴ってしまうのとでは、だいぶ違うと思うのです。

勉強が嫌いな人が活躍できる場などないと知らせる

勉強というのは必ずしも受験に関わるものではありません。どんな職業に就くにも勉強は必要です。そして、「こうしてダメならこうやってみよう。」と反省と改善を繰り返す。
「勉強は嫌い」「楽したい」という人に一番向いていないのは起業なのではないでしょうか?

いまだに多くの企業が学歴を指標の一つとしているのは、「努力できますよ。」とか、「理解度や要領のよさを持っていますよ。」という証明でもあるからなのでしょう。

コミュニケーション能力に逃げない

コミュニケーション能力がいま一番必要みたいに言われています。
それは概ね同感ですが、反学歴主義の方がそれさえあれば学歴などなくてもよいなんて言い方を時々したりします。
実際はある程度の理解度や仕事をこなす能力があった上でのコミュニケーション能力だと思うのです。

話の通じない、物を知らなすぎる、努力を避けようとする、愛想と気遣いたっぷりの部下なんていりません。

多少コミュニケーション能力が欠けていたとしても、「こいつ気が利かないな。」と思えば、周りから確認作業を増やすなど工夫をすることで、ある程度はどうにかなるのではないでしょうか。
対して、例えば英語が必要とされる部署で英語がまったくわかりません! という社員がいても、使えるようになるまでには相当の時間が必要ですし、勉強嫌いであればそんな日はこないかもしれません。

ポジティブシンキング礼賛に踊らされない

私は楽観的です。悲観的な考えに付き合わされるのはちょっと苦手。
でも、いわゆるポジティブシンキングみたいなのに違和感を持ちます。

そういうポジティブ思考を推奨するような文章を見ると、納得することもあれば、それは違うだろと思うことがあります。

「口癖を直せばいい。」「妬まないようにする。」みたいなのを読みますが、それで人が変わると思うなんて本当ポジティブだよと思います。誰も妬みたくて妬んでないよ。
スピリチュアルな分野なども人気ですよね。
なんだかわかんないけど思えば実現可能! のような考え方が安易な決断を促していないか、と思うのです。 

最近はうすっぺらい言葉がはびこっているように感じるのです。
前向きになれる歌、必要です。私も歌に助けられたこともないことはない。
けれど、なんか聴いたようなベタなフレーズだなぁ、というようなものが多かったり。
人生は奥深く難しいもの。年をとるに従い困難を知っていきます。

若者向けだから仕方ないのか? でも、だいぶ社会が幼稚化していると感じるのは私だけでしょうか。

大学が自分にとって価値がないと知るためには短すぎる

大学がなにももたらさない。そうだろうか? 人脈しかり、これから出会うはずだった多くの大学の先生や授業内容。実利にはならなくともそれは本人の身になっていく。
将来なにに役立つかわからない。
周りの友達が話す価値がないかどうかは、引き出し方にもよると思います。

たとえば、「なんでそんなにこいつは曖昧なの?」ってことに注目するだけでも、新しい発見があったり、それがアイデアに繋がったりするのではないか。
探究心なさすぎる。私は教養課程はとても面白いと思いましたよ。また、専門課程も未経験のまま、なにが価値がないとわかるのか。

中退してなにかを成す人の中には、大学で習うであろうことよりもっと価値のあることを見つけている人もいるでしょう。この彼は「価値がない」というのがまずあるところがそういった中退者との違いではないでしょうか?
多くの意見にある通り、やめることが目的になってしまっているので、その結論は早すぎるだろうということ。なにかを判断するにはそれをよく知らなくてはいけません。

ビジネスは大変難しいということを教える

私はビジネスは語れません。でも、平凡な主婦として見ても、ビジネスって結局ブームではないか、と思うのです。

薄型テレビの失敗。破綻するレジャー施設。流行りのスイーツ。ガラケー衰退。人気芸人。サービス終了。
あらゆる商売が、うけなきゃ終わる。

それを常にアンテナをはって生きて行くということは、一個人ではなかなか難しい。
常に考え続けなくてはいけない。

でも、例えば売れるコンテンツを見たり、例えばブログを見ても、

「え、これがうけているの?」と思うことは結構あります。

要するに、なにが受けるのかわからない。
例えば自分の記事だって、予想外のものがうけていたり、その逆もしかり。

また、短期的にわっと人を驚かすことはできても、長期でそのコンテンツ勝負でやっていける価値があるかどうかは別でしょう。
まさにブログで儲けるなんて、すでに多くの人がチャレンジしていること。
簡単に成功すると思わない冷静さも必要です。

現実をみよ! 起業が悪いわけじゃない。

私も最後の最後でレールから一抜けたので、レールから外れるなとは思いません。
少なくとも私は在学中に飛び降りる準備をコツコツとしてきました。卒業に間に合うように三年がかりでした。
また、時代的なもの、私が女であることなども大きく異なることです。
その選択については以前の記事で触れています。私が男だったらこの選択はしていません。女だからこそ、子育てを考えたからこその選択でしたので。
批判の多くにあるように、辞める前にすること山ほどあっただろう。
それができていないので、皆さんの見積もりは厳しいものになったのだと思います。

汗をかいて稼ぐということを教える

私が学生の頃、親の知り合いの男の子がやはり大学生でした。その子の父親は、その子が家庭教師などのバイトしかしないことを怒っていました。

なんとなくわかる。と私も思いました。

確かに学生にとって家庭教師はかなり割のいいバイトです。家庭教師をやれば他のバイトの半分以下の時間しか働かなくて済む。

でも、それは社会一般のお金の稼ぎ方からするとすこし特殊です。
私も家庭教師や塾講師以外にビラ配りや事務仕事、サービス業など経験しました。それらの体験は、稼ぐということを理解するのに多少なりとも糧になりました。
わりと同じバイトを続けてしまうたちだったので、もっと多くの種類のバイトをすればよかったと思っています。時間のある大学生にはそういった経験ができる。
先日も息子に早くバイトをして1000円稼ぐ大変さを知ってほしいと話したところです。

地に足をつけた生き方にしか価値がないと知らせる

音楽pvを作りたいというのはどこ行っちゃったのか? 4ヶ月であきらめることなのか。よくよく読み返すと自分の選択でないと初めに書いてあるけれども、pvを作りたいからその大学を選んだとも書いてあります。

格好いいと思われがちな仕事の裏には、そこで活躍する人には並々ならぬ努力とすこしの運があるということを知らせたい。

以前勉強を見ていた子が「声優になりたい」と言っていて、いろいろ調べたことがあります。そういった職につける保障がなんにもないところで、専門学校などにお金と時間を費やせるほど余裕がなかったので、結局あきらめていました。

 

ジャニーズタレントなどが、よく俳優専門ではないこと、大手事務所であることなどで実力もないのに贔屓されている、なんてことを聞きますが、実はジャニーズの人達ってすごく努力をしている。
確か蜷川幸雄さんがそれでジャニーズのタレントを評価してよく起用しているなんてことを聞きました。今でもたとえば『プレバト』などでキスマイの子達が軒並み好成績を出している裏には楽屋で俳句を学んでいるからだそうです。事務所は大変厳しいそうなので、努力の人達なのです。

大学にいても絶対に成長できない、と簡単に言い切ってしまう、お気軽さ。

確かに若いと深いところを知らないので安易に見た目や雰囲気で考えがちなのかもしれません。
私も以前息子に「◯◯(とある職業)は(自分が就く候補としては)ないな。」と簡単に言っていたので、「あんたはその職業の何を知っているのか! 簡単に決めるな。」と話したことがあります。

駄目出しをするならそれについてよく知れ、と思うのです。

普通の価値を知らせる

「普通は格好悪い」という考え方は、いわゆる中二病ですよね。

「自分は特別」感。根拠のない自信。それ自身は悪くありませんが、職業を選ぶ段階になってまで引きずらせると、実害が出てしまう。

特別になる人は並々ならぬ努力をしている。
人より努力のできない人は「普通」を選ぶのが賢い。
なぜ、普通の人は普通にしているのか。
一番それが楽だからではないでしょうか。
サラリーマンになりたくないなんてよく聞きますが、簡単に信用を得られる面でもサラリーマンって一番楽そう、と思うのです。個人の力だけで信用を得るのって相当大変ですよね。でも企業に雇用されれば、若くても信用され、ローンなども組めるのです。

いろんな人に話を聞く 

ある決断をするときに、いろいろな環境や考え方の人の話を聞くということも大事だと思います。こと、なにかしたいとき、背中を押してくれるような意見、自分に都合の良い意見ばかりに同調しがちですが、それでいいかを知るためには多様な視点を得る必要があります。

たとえば中学受験の是非や仕方などを見ても、時々ある斬新な意見を取り入れるときほど、慎重にその反対意見を知ることが必要かと思います。

たとえば中学受験を塾に行かないでやらせるというあまりないパターンなど。できる人がいることは否定しませんが、そう多くはないということ。じゃあなんで塾はいいのか、多くの人が塾にお金をかけているのかというのを同時に知ることで、本当に自分がどちらを選択するかを決められると思います。
よく友人などに意見を求める方もいますが、それだけでは頼りにはなりません。
友人には「相手とうまくやっていきたい」という意識も働くので、必ずしも本音を言ってくれるとは限らないからです。
また、ライバルなどでしたら、下手をすると逆に誘導される可能性も?

特に経験を持った大人の意見をいろいろ聞いてみること。
その場にいるのと外から見るのでは大違い、ということも多いでしょう。

失敗しても戻れる社会になってほしい

個人的には彼のことを笑う視点はありません。
ただ、現実の社会に息子を送り出すに当たって、これじゃちょっと足りないだろう、と思うことを考えてみました。
失敗してやりなおしが聞きにくい日本で、 辛い選択をしたよなぁと客観的には思いますが、でも、この批判を浴びたことで、ガッツリ仕事と向き合えたらそれも成長なのではないかと思います。
そして、できればそういう思い切ったチャレンジをしても、またなんならレールに戻れるようなそんな懐の大きい社会になってほしいなと思います。

海外の大学などでは社会人がたくさん学んでいると聞きます。
そんな風に仕事をしながら改めて学ぶ時間もとれるような余裕が得られるといいと思います。

 

書き出してみたら思ったよりありました。いろいろ考えさせてもらい感謝です。

 

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