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なんだかいろいろ問題もあったようですが、ちょっと気になったことなど本屋で立ち読みしてみようかなという気分で気軽に手に取れるのもいいですし、ブログのネタにもなりそうな本が。
いつまで続けるかはわかりませんが、そんな感じでただなら読んでみようと思った本から気になるものを。
『[決定版] 頭のいい子をつくる夫婦の戦略 「9歳」「12歳」までにこれをやれば成功する』(清水克彦著)
そもそもうちはもうとうに過ぎているのですが、この本わりと共感できるいい本でした。共感した部分をいくつか取り上げます。
夫婦の戦略が必要
世の中の親に求められているものはいつでも子どもに「生きる力」をつける役割。
すなわち思考力・表現力・創造力や独自性などと考えるそう。
これからは高学歴だから人生は成功と言い切れないからこそ、学力をつけるのと並行して社会情勢に適応できる力を身につけさせたいと。
確かに、頭だけよくて使えないのでは本人も不幸ですよね。しかし、これがなかなか難しい。
その出発点は、子育てを行き当たりばったりにせず、「こんな人間に育てたい」というビジョンを持つことだと述べています。
私もいつぞやそんなことを考えました。
中学受験失敗組から学ぶ
そんなわけで夫婦の戦略が必要とはじまるこの本。
第1章では『中学受験失敗組から学ぶ子育ての最優先事項』について。
こちらは結構中学受験に臨むご家庭には一読の価値有りかと思いました。
筆者はラジオ局で受験事情や教育問題を取材し続けてきたという筆者の取材から得た実感のようです。
- 有名中学に合格することを目標に掲げ、子どもに努力を求める親の存在
- 有名中学に進んでどんな環境が待ち構えているかを考慮しなかった親の視点の欠如
- 「子どもを負け組にしない」という消極的な理由で受験をさせる親の増加
(以上引用)
2は 入学後は優秀な周りに囲まれて自信を無くしてしまうケースなど。子どものタイプにより揉まれて成長するか自信を失うかを親がよく見ておくべしということのようです。
そこまで親が見極められるか、なかには予想外のお子さんもいらっしゃるのかもしれませんが。
3は動機がはっきりしないため、入学後に無目的で過ごしてしまう、とか。
住んでいる環境によっては3のようになんとなくで選ぶ方もいらっしゃるのかもしれません。けれども中学受験ってそんなに簡単なものじゃない、ということを以前書きました。
費用もバカになりませんし、もちろん受験にチャレンジした分、なにかを経験できないわけですから。たいして努力もせず入れるところが志望校である場合を除いては、失うものも多いと覚悟はいると思います。
なにをもって学校を選ぶか
また、この本の良いと思ったところは、次の「出口だけを気にする親たちの行動」です。
学校説明会で進学実績や大学受験に向けてのカリキュラムばかりを全面に出す学校、こういう学校がある背景には大学の合格実績だけを気にかける親たちの存在があると書いています。
実は、確かに私も初めて進学フェアに行った4年生の春ころには、個別ブースでなにを聞いていいかわからず、「進学のための勉強ってどんな取り組みをされているのですか?」ということを中心に聞いていました。
私自身に中学受験の経験もなく、「学校選び=進学実績」みたいなことしか思いつかなかったのです。
ただ、少ないですがいくつかの学校説明会を訪ねて行くうちに、学校にはそれぞれ「雰囲気」や教育理念があって、それが結構大きい、ということに気づき始めました。
その六年間をどういう環境(雰囲気・教育理念)のなかで過ごすのかは、実は何より大事かもしれない。
高校三年間しかなく慌ただしく受験勉強をするだけで精一杯ではなく、中学から六年を過ごせるということは、受験だけで終わるわけではない、という考えが、一貫校に行ったことのない私にはあまりわかっていませんでした。
息子が実際通ってみて、あらためて進学実績以上に大きいのがそういった学校の環境であると思っています。多少偏差値を落としたとしたって、いまは塾が充実していますから、この学校に入らなくては難関大学受験は難しいなんてことはあまりないと思うし、逆に難関校に入ったから盤石だというわけでもないと実感しています。
あと、説明会を回り、併願校を考えているうちに、感じたことがあります。
たとえばその学校のトップクラスの子が合格している大学はとても参考になるし、その中学に入ってがんばれば、もしかしたらそのクラスの大学へ入れるということか、と単純に思っていました。
しかし、いざ受験を済ませてみれば、「難関校確実と言われた子が落ちた」という話を聞くうちに、その子はきっとどこかの滑り止めとして受けた併願校へ入り、大学受験こそは本領を発揮して、難関大学合格を勝ち取るのだろうな、そういった難関校の受け皿となる学校には、そういうすごい子がけっこういるのじゃないか、と思ったこと。
そう考えると、進学実績もどこをどう読み解けばいいのかな、と思えてきます。
そうなると、確実なのはその学校の良さ、売りというところに惹かれるかどうかで選んだ方がいいような気がするのです。
親としてどうあるべきか
また、中学受験は親の受験だからといって、なんでも子どものことを先回りしてやってしまう親に警告をしています。
勉強だけすればいいと育てた子は、親に任せておけばいいとなにも考えられない子になる可能性もある。「生きる力」をつけるべきときにその機会を逸してしまうとも。
また、受験を親が仕切りすぎて、中学受験自体を断念することになった失敗例も乗っていました。
さらに成績が伸び悩むお子さんの実例も。甘やかしすぎも「次頑張ればいい」ばかりではよくないと。
これは、その子によりベストな対応は微妙に違うところかもしれません。悲観的な子なら励まし中心、ちょっと鈍感な子なら叱咤激励と言った具合に。
また合格者アンケート結果で、受験の反省点で多かったのは過干渉と放任だとか。
さじ加減は大変難しいと思います。
やりすぎも子どものストレスがハンパないでしょうし、放任では小学生ではやはり100の力は出しきれないと思います。
さらに伸びる生徒の保護者の共通点はどこかという進学塾アンケートの結果も載っています。どういう親であるべきかの指針になると思います。
ちなみに一位は「子どもとのコミュニケーションがよくとれている」、二位は「塾(教師)を信頼し、聞く耳を持っている」だそう。
中学受験ではありませんが、私が塾講師や家庭教師などでお子さんを見ていてこの二位「塾(教師)を信頼し、聞く耳を持っている」については強く感じたことがあります。
たいてい問題なく信頼して預けてくださったのですが、なかにご自分のご家庭でのお子さんの態度に怒って「宿題をきちんとやらないから、罰としてしばらくおやすみさせることにしました」と、勝手に来させない決断をされる親御さんがいて、本当に困りました。
こちらは長いスパンで少しずつできるようにと計画しているところを、一月くらいポーンと休ませるわけですから、その間普段やらない子がやるわけない。結局課題も滞るどころか前のことも忘れてしまう、いわば「台無し」なんですよ。
一方で、あまりにやらないお子さんに、毎回全く宿題をしないために先に進めないために、自営のお店で忙しい親御さんに、話がしたいと申し出ましたが、逆に「お任せしているので、適当にやってください。忙しくて会えません。」と言われて、結局見るのをお断りしたことがあります。
こんなに進まないのに個別でそれなりにいただくものはいただいていることに良心がとがめて、むしろ「できないと格好悪いから塾の方がまだましかもしれない」とお伝えしました。
そこまで親身になってくれる集団塾はそうないと思うのですが、取り付く島がありませんでした。
そういう意味でも、任せると決めたら、塾を信じてほしいと思うのです。
ほかにもアンケート結果はなかなかいいことが書いてありました。
さらに、おすすめの内容は続きます。
親のリベンジで受けさせることに疑問を呈する内容。
親ばかりが息巻いていないか、あらためて考える必要もあるかもしれません。
大学附属校についての筆者の見解も、知らない方には一読の価値はあるかと。
9歳までにやっておくべき戦略
この本によれば、9歳はまだ親の言うことを素直に聞く年齢。確かにかわいかった!
また、学校の勉強がむずかしくなる端境期だそうです。この頃、周りで算数がわからなくなったとか、漢字ができないという話も聞きました。
脳科学の分野では、知恵を育てる能力であるPQ(=Potentiality Quotient)が発達のピークを迎える時期なのだそう。
9歳までの親の課題は、
子どもの将来についての青写真を描くということ
(以上引用)
子どもの自主性だけでなく、社会の変化にも目を向けてどうナビゲートするかの戦略が必要だと。具体例にも触れています。ビジネスプロジェクトと同じようなものです。
そのほかマニフェストを作ることもオススメしています。面白いのは財源も確認しておくこと。思ったよりお金がかかると思うので。
また、親の言うことを素直に聞く子にする作戦についても触れていました。
進学塾アンケートでも伸びる生徒の共通点
第1位 素直 58.0%
(以上引用)
そうですよー。素直。サピックスで散々言われたこと。未だにできない息子。
素直さは勉強能力の育成以上に難しいとか。私も何年がかりで「君、素直になった方が絶対得よ!」と説いたか。まさに今日もその話をしたのです。
素直な子にする作戦も書いてあります。必要だと思われる方は是非お読みください。
うちに作戦が欠けていたとはそう思わないんだけどな。
なにかができていると夫婦で拍手して「すごいね~」なんて、今でもいうときありますから(生活習慣はダメだしばかりですが。)。
元が頑固者は無理ですね。岩みたいだから。
そういう意味では、努力したのに素直にならなくても、そう深刻にならなくても親御さんのせいではないと勝手に私が太鼓判を押します。
また、子どもに考えさせるような会話をする、一歩踏み込んだ話をするなども大事な項目かと思います。9歳になっていないお子さんのいらっしゃるご家庭には、受験の有無を問わず、得るものがあると思います。
長くなるので今回はここまで。12歳までにはなにをすればいいかはまた次回。