前々回記事の続き。
英語編は家庭学習をいかにすすめるか具体的に書いてあり参考になる。
本書の三編のうちの最後は英語編。
しょっぱなから、語学は外注しても効果が薄いという、少し心強い言葉が。
理由1 小学校での英語教育が早期化すると、人材は不足する。英語教師の方が自分より必ずしも実力差があるとは限らない。
理由2 コミュニケーション能力を育てるのには家庭が最適
さらに、今後の日本の目指す英語教育とは?
新しい学習指導要領では、高校生までに英語でディベートしたり、交渉したりする能力を目指しています。
(『世界のトップ1%に育てる親の習慣ベスト45』より引用:以下同)
思ったより、高いレベルを求めている! これは、単に英単語や英文法を覚えたり、挨拶ができるだけでは到底無理。
けれども、実際の内容は「とても学校教育には頼れない」そう。
ここでも人材不足と授業のレベルの低さ(小学3〜6年の4年間で600〜700程度の単語を覚える)。
確かに、今まで子どもたちの小学校での英語の授業をみてきたけれど、一コマの授業で覚えることは恐ろしく少ない。
「英語に親しむ」が目的だからだろうが、みていると幼稚園児並みのことしかやっていない気がした。
かといって幼児教室で英語を学んでも、いつまでたっても簡単な会話をするだけで、英語の4技能は身につかないという。
これも、薄々感じていたことだ。
小学校で英語の授業があったとき、普段教室に行っている子はちょっとだけ単語を知っている、という程度でしかなかった。中学へ行けばあっという間に差はなくなる。
これは英語教育に限らず、なにかの体験講座などでも、
「所詮こんなもんか。自分で準備すればこれくらい家でもできる」
と思うものが多かった。
今のプログラミング教室なんかだってそうだと思う。
中には本格的なものもあるかもしれないが、入門編的なものは、家庭でちょっと一手間でできることが多い。
↓例えばこんなのも、息子は小さい頃家でやってゲームを作ったりしていた。
塾や習い事の一部は、親がやればできることを外注しているだけ、というのは事実だろう。
そこにどれだけお金をかけてもいいと思えるかなのかもしれないが、通わせているだけの丸投げでは、やはり何事も上達しない。
息子はドラムを習っていたが、毎日練習はさせていたし、それがなければとても上達は遅くなる。
本に戻る。「日本語が先か英語が先か」という章では、議論の分かれる英語の早期教育について、著者は「家庭では」と限定して、英語と日本語を一緒にと言っている。
学校や塾に外注した場合、一緒に学ぶことに弊害が生じるかもしれない。
子どもに英語を教えるメソッドが確立されていませんし、スキルを持つ教師を育成するシステムも時間も圧倒的に不足しているからです。
そこで幼稚な英語の幼稚な内容のレッスンを受けるくらいなら、家庭で日本語の本を読んで語彙を増やして、国語力を伸ばした方が遥かに有効だと思います。
と、手厳しい。
日本語で言えない内容は英語でも言えないから
家庭で行う英語教育なら日本語も英語も同時に伸ばせるという。
この辺は、「そうなのかなぁ?」と思うのだが、要するに家庭教育とは、親が責任を持って子どもの英語をしっかりみるということだから、外注していると、親も教師もそれぞれ普段子どもが(英語または日本語で)何をわかっていて何をわからないかもわからないまま授業が進むから、効果がない、ということだろうか。
我が家ではきっちり英語を教えたりはしてこなかった。
テレビなどで見たときに、「これはこんな意味だよ。」程度でしかやっていない。
子どもが小さい頃、一度どうしようか、と言う話になったときにそこまで手もお金もかけてやれないから、英語早期教育はやらない、と夫婦で決めた。
ちょっとばかり教室に通っても、家ではやらない、途中でやめる、となるとそれまでの習ったものは全部無駄になると思っていた。
やるなら徹底的に目標を持ってやらせなければいけないが、それは今ではなくていいと思っていたからだ。だから、小学生で英検2級を取らせるとか、それなりの英語力をつけている人には感心する。
ただ、その分を他の習い事や、主に勉強や読書などに使った、ということになる。
この辺もお金や親が費やせる時間などとも相談して考えるといい。
そして、共感したのが、まずはリーディングとライティングからというところ。
話す、聞くが苦手だと思われがちだが、リーディングもライティングも大いに不得手だという。
なぜ家庭ではリーディングとライティングからかというと、
理由1 話し言葉はその土地に行かないとなかなか磨けないが、リーディングとライティングはどこにいても練習できる。帰国子女でもこの二つが苦手な人は多い。
理由2 大学入試で重視される
理由3 リーディングとライティングを突き詰めれば英語で話せる
この辺は頼もしい意見だし、日頃私が感じていること。
英語を使った環境に身を置かないので、なかなかスラスラ話してなんでも聞けるというわけではないが、語彙を増やし、それなりの文章が読めたり書けたりすることで、いざとなればそういう環境でも困らないだろう。
実際、著者は英語圏で暮らしたこともないが、英語教室でハーバード生の面接などもしているという。
先立つものはインプット。インプットがないとアウトプットはできないのです。
いよいよ実践編。
1日10分×平日5日分で小学校低学年までで中学3年生までの英語を教える。
なんとなく、これは共感する。中学受験などの勉強では、例えば理科なども中学範囲をカバーしている。他の教科もしかり。
中学生の英語は簡単なので小学生でも容易に理解できる。結局やるかやらないか、なのだと思う。
絵本(CD付き)を使って、聞いて、リピート、シャドーイング(少し遅れてマネする)、オーバーラッピング(音に被せて読む)をする、英単語の暗記、それで1日10分。
難しくはないが、地道に続けることで、大きなアドバンテージとなるということだろう。
あとは日本語の語彙をまず増やす。そのあとライティングへと進むが、英作文は4つのライティングスタイルについて詳しく説明されている。これを知っていると、読解にも役に立つという。
さらに、ロジカル英作文や入試のエッセイについて、それから留学についてと続く。
留学は事前準備が9割という。
慣れただけで終わらせないよう、留学という語学学習のチャンスを最大限に活かすには、事前準備が最重要です。
- 課題を決める
- 必要なリーディングをこなす
- リーディングができるとライティングのコツがわかる
- 単語暗記
この4つを押さえれば、交換留学も実りあるものになるでしょう。
よくあるのは、現地でスピーキングができるようになったら、リーディングもライティングもできるようになると勘違いしてしまうこと。
短期留学などで海外の雰囲気だけ味わって終わってしまう人は多い気がする。準備していくのとそうでないのとでは大違い。留学未経験の私にも腑に落ちた。
また、ロジカル英文が書けるように論理国語を伸ばす話、最後は、我が子を場所に縛られずに自分の得意で生き抜く力をつける、というトランスナショナル人材についてやマルチリンガルについて語られる。
後半は多大な努力と地道な勉強が必要だと感じる。ただ、世界を視野に入れた子育てをすることは、これから切り離せないのだと思う。
幼児向けの英語教材を見ても、いったいこれをやってどうなるの? という漠然とした違和感があったが、簡単なCD付き絵本と単語集で、着実に力をつけていけば、使える英語が身につくのだというのが、よくわかった。
早期の英語教育は選ばなかった私だが、大変共感できた。
その地道な努力を続けるのが大変なのだが…。