悩める子育て

幼児から中学受験→難関校からの大学受験、その先を考える

受験勉強しないから殺す父って

www.nikkei.com

 

少し前の記事ですが、ご存知の方も多いでしょう。
父親が、自分の息子に母校への中学受験をさせようとしていたが、思うようにいかず、口論の末包丁で刺殺した事件。
詳しい情報があまり出ないようですので、この事件への直接的言及はできません。

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でも痛ましいとしかいえません。そして。
知人の家の親子を思い出してなりません。

中学受験を成功させることと子どもの命を天秤にかけて、命をなくしてしまったこの事件。

 

一方知人宅は、苦手な勉強すること、苦手な運動を毎日部活でやること、苦手な時間管理(検査をしています)をきちんとやること、そんなことがうまくできないお子さんに苛立ち本当に常に怒って死ねと言ったり、長時間説教をして寝かせなかったり、ひどい時は暴力をふるったりしているような父親が、その子にとって何より大切な自尊心や親との信頼関係を失ってしまった。

 

意外とこういう家ってあるのではないでしょうか?
そういえば、私の小学生時代のクラスメイトにとても勉強が苦手な子がいました。
小学校の終業式の日、その子は「帰ったら、怒られる。親に殴られる。」と言っていてびっくりしたのを覚えています。
その子は本当に字も汚く、勉強もかなりできずにとても家でやっている様子はなさそうでした。(漢字テストことごとく0点とか)

 

将来が心配なのは同じ親として理解できます。
私も息子の将来を案じて、小学校から学校選びをしました。

 

でも、これだけ息子を育て、友達の話を聞いたりして、わかったことがいくつかあります。

 

  • 巷では、子どもは育てたようになる、というが、そればかりでもないこと。
  • 口で言っても効果がないこと。
  • 約束しても守らない(守れない)子は多いこと。
  • 子どもを変えるのは、親が変わらなくてはならないこと。

 

時々違和感があるのです。
おそらくたいして苦労をしなかった、聞き分けの良いお子さんを育てた親御さんの、

「親の躾がなってないからだ。」
という切り捨て。

 

苦労をしていない人には、している人の苦労は理解できないのでしょう。 

こういう意見がまかり通っているからこそ、親はできない我が子に必死になるのではないでしょうか?

「ちゃんとしつけていないと思われる。」

また、親自身も本気で厳しく躾ければどうにかなると信じているかもしれません。

 

どんなに改善されず、むしろ悪くなってもやり方を変えない。
その結果変わらない子どもは、親にとって「価値がない」のか、または「本人がしょーもない」のか。

自業自得という意味のことを知人の家のお母さんから何回も聞きました。

やらないから悪い。いうことを聞かないから悪い。約束を破ったから悪い。嘘をつくから悪い。

しまいに、外は危険だと言ったのに、自分で出て行ったのだから、なにかあっても仕方ない。

 

ここで私は返す言葉がなくなりました。

 

愛がないとは思いません。
それでも、はっきり言って、自分たちはどうなのか、と言いたくなるくらい自分たちに甘い親が、子どもにだけは全部自己責任でした。

親の尽力とは

事件の父がどのくらい受験勉強に尽力したのか、残念ながら私は情報を持っていないのですが、あまりにも現実が見えていない。

すぎてみて言えることって、中学受験の親の尽力って、もちろんペース配分だとか叱咤激励もあるけれども、何より「現状を受け入れる」ってことじゃないかな。

ひどい模試、終わらない課題、順調じゃない過去問、いつになってもやる気を出さない子ども。

子育てが親育てというのは、そういうことのような気がします。
自分一人で生きていたときは、おとしどころはあることが多いです。
自分だから。仕方ないやって。
だけれど、子どもは他人。動かせない他人が自分の思うようにならないのを受け入れるしかない。

人は変えられない

以前ご紹介しましたが、少し前大ヒットした『嫌われる勇気』で、子どもの勉強は子どもの課題という話がありました。

 ある国に「馬を水辺に連れて行くことは出来るが、水を飲ませることはできない」ということわざがあります。アドラー心理学におけるカウンセリング、また他者への援助全般も、そういうスタンスだと考えてください。本人の意向を無視して"変わること"を強要したところで、あとで強烈な反動がやってくるだけです。
自分を変えることができるのは、自分しかいません。

 岸見一郎、古賀史健著『嫌われる勇気』より引用。

 

過去記事でも取り上げています。ご参照ください。

vt-maguna.hatenablog.com

 

 改めて、「強烈な反動」という言葉で、かたくなに親のいうことを聞かなくなったお子さんを思い出します。無表情で、やり過ごすそうです。

 

事件の親子にどんな口論があったか。
父親が「人は変えられない」ということをわかっていれば、こんなことにはならなかったのでしょう。

勉強しない息子

さて、このブログを書き始めてからずっと勉強をきちんとしていない息子です。
もちろん0時間というわけではない。
けれども、苦手な教科を克服するために行かせた塾もその場しのぎなのでやめました。
制裁ではなく個別塾で塾代高かったので元が取れないという経済的理由です(泣)。

 

このブログを書いたきっかけは以前書いた、この知人の親子のことが大きい。
けれども、何より息子に対して、いまだにおおいに苦労しているといえば言える状態です。

他の進学校に行った友達は、山のような宿題と戦っているよ。

なんで貴重な時間を有効に使わないの?

宿題が終わっていないのに焦らないのはなんで?

用事があってさあでかけようってなってから実際出かけられるまで1時間もかかるのはなぜ?

休みの日、何もしないで夕方になって、手伝いもしないでたまった課題もできなそうなんだけど大丈夫?

薬をきちんと服用しなさいと言っているし、きちんと飲まないと効果がないことを噛み砕いて説明しているのに、何十回何百回言ってもできないのはなぜ?

今日も早朝から友達と乗り鉄をしている息子がついさっきまで連絡もよこさない(なんども言っているにもかかわらず。一応ごめんなさいだって)。

 

人にはない才能を持っていたりもする息子ですが、本当に人一倍困難も抱えていると思います。
ただ、いま私がそこまでストレスに感じていない(からこそさほどブログにも登場しない)のは、ひとつは『課題の分離』を知ったから。
あとは学校の先生の「とにかくいまは子どもを信じて、勉強のことに口出ししないでください」という保護者に向けた強いお願いがあったからです。

 

ひとつには信じること、ひとつには諦めること。

 

それが一番子育てで大事なような気がしてきました。
それで、息子との関係はいまのところ良好です。
ブログでも、きちんとお子さんと勉強を進めている親御さんを見ると、いいなぁ羨ましいなぁと思うけれども。うちには無理とあきらめています。

 

あきらめざるを得なかったというのもあるかもしれませんが、あとは時々本人にちくりといって思い出させる。

青年 じゃあ、子どもがまったく勉強していなかったとしても、それは子どもの課題なのだから放置しろ、と?

哲人 ここは注意が必要です。アドラー心理学は、放任主義を推奨するものではありません。放任とは、子どもが何をしているのか知らない、知ろうともしない、という態度です。そうではなく、子どもがなにをしているのか知った上で、見守ること。勉強についていえば、それが本人の課題であることを伝え、もしも本人が勉強したいと思ったときにはいつでも援助をする用意があることを伝えておく。けれども子どもの課題に土足で踏み込むことはしない、頼まれもしないのにあれこれ口出ししてはいけないのです。

 岸見一郎、古賀史健著『嫌われる勇気』より引用。

 

結構難しいと思うのですが、心の隅においておけば、怒りが止められなくなることはなくなるのではないでしょうか?

同じ本のご紹介ですみません。
最近新規事業立ち上げで忙しく、本当は毎日書きたいと思っているブログもなかなか書けません。読みたい本も何冊かたまっているのですが、もう少ししたら落ち着くと思うので、また思索にふけってみたいです。
 

 

vt-maguna.hatenablog.com

 

 

vt-maguna.hatenablog.com

 

 

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